幻想水滸伝2
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
何だかいつもと違う空気に耐えられず食事を済ませた私は直ぐに自室に戻る事にした
シードも2人も何か様子が変だなと思いながら、気分転換にドレッサーの引き出しにしまって置いた香水を付けて本棚から適当に小説を取りベッドに入った
15ページ程読んだ所でドアがノックされる音と共に私の返事も待たずズカズカと入って来たシードは私の横にゴロリとねそべるが私の目線の先は先程と変わらず文字を辿る
「・・・なぁ、」
「・・・んー」
本を読む事をやめない私にシードは何も言わずに太ももに顔を乗せて抱き締めてくる
可愛いなぁと言って頭を撫でると、何故か悲しそうに苦笑いのシードは俺の事愛してるか?と小さく呟いた
「当たり前じゃない」
「・・・お前は俺のどの辺が好きで一緒になったんだ?」
「うーん。全部かなぁ。でも・・・強いて言うならずっと守って大事にしてくれそうな所とか、一緒にいると楽しくて笑顔でいれる所かな」
「・・・セツナ・・・」
「・・・やっぱり変なシード、普段そんな事聞かないし。いつもはもっと男らしくて亭主関白なのに。今日は何か変な感じ」
「・・・その思い出は・・・いや、何でもねぇ」
首を傾げた私にシードは本を奪うと深く口付けして来る。目尻が下がり何だか悲しい顔をしたシードを不思議に思うが、何も言わずにそのまま口付けに応える
舌をいやらしく愛撫されながら服の中に入って来た手が激しく胸を揉みしだく
少しづつ気分が高揚してきた私の顔を見つめたシードは満足そうに目を細めてから胸の突起に舌を這わせる
その優しく熱い唇にビクビクと足が震える程感じてしまう
何だか今日は凄く求めて来てくれて嬉しいのだけど、
行為も激しくシードの心が荒れているように感じる
もう片方の手が肉芽に触れ、耐え切れずにあぁと思わず声を出してしまうと気持ちいいか?と耳元で囁いたシードに私は恥ずかしくて顔を背けてしまう
それを見てフッと笑ったシードは耳の中に舌を入れ、肉芽を潰しながら太い指を中に入れて探る様に指を動かしてくる
我慢出来ずに出てしまう声を抑えようとして自分の手で口を塞いだ
「……声我慢すんなよ」
可愛いぜと耳元で囁かれながら1番弱い所を擦られた私は簡単に達してしまう。仰け反る腰を掴まれてその余韻に浸る暇なく直ぐに奥まで挿入され、激しく動かされると気持ちが良くて目に涙が溜まってくる
上半身を起こされてそのまま対面に座らされると私の涙に口付けながら深く入っている自身を突き動かしてくる
「ふっ、シード……も、だめ……、」
「…悪ぃ、優しくできねぇ」
「……シードの余裕無い顔可愛い……」
「……お前のが可愛いよ」
そう囁かれた途端に胸が熱くなりぎゅっとシードを抱き締める
その可愛い顔も全部俺のものだと言って私に激しく口付けてくるシードが何故か茶金髪のハンサムな男性と重なって見えた
朝起きると裸のまま私を胸に抱き眠るシードが居て何だか安心した。昨日から皆の様子がおかしいと感じるのは私の勘違いでは無い筈だ
少しだけ不安になり、シードの髪を起きないように優しく触っていると、何故か前髪の一部は金色だった様な気がして不思議に思う
ふと耳を触り、眠るのに外して無かったなとピアスを何となく外した。綺麗な光り輝く濃いブルーの石
赤くキラキラした粒模様も見える
「・・・この石何だろう・・・」
「・・・それはアイオライトブラッドショットだ。」
ぽつり呟いた私に急に返事が返ってきて、おはようさんと優しく口付けられる
「アイオライト・・・。知らない石、シードがくれたんだっけ?記憶に無いけど」
「・・・俺が会った時にはもうしてたけどな」
「そんな昔から」
「昔ねぇ。・・・アクセサリーとか服でも買いに行くか。ルルノイエの城下町なら近いしな」
「特に足りてるわよ」
「まぁ、たまには良いじゃねーか。付き合えよ」
シャワー浴びてくると立ち上がったシードに、出かけるなら私も浴びると元気良く立ち上がるとシードに続いて部屋を出た
湯を浴びてからクローゼットに掛けてある黒い肩が出たワンピースとショートブーツを身に付け化粧をして髪を軽く巻いてと慌ただしく支度をしていると、珍しく灰色に黒のラインの入った軍服を着ているシードが部屋に入ってくる
「支度は終わったか?お姫様」
「少々お待ち下さいませ、私の騎士様」
「まだかかる様なら馬の準備をしてくるから終わったら外に来いよ」
「はーい」
髪の毛をセットして、香水を付けた私は1度立ち上がり鏡の前で自身の姿を見つめる
黒いスリットのワンピースに良く映えるブルーのピアス。何だかとても懐かし感じて違和感を覚えたが
シードが待っているから早く行かなくちゃと私はそのまま部屋を出て屋敷の玄関から外に出た
手入れがされている薔薇の庭園を門に向かい歩いていると、向こうから沢山の紙袋を持ったアダムがこちらに歩いてくるのが見えて手を振ればアダムは爽やかに頭を下げた
「おかえりなさい!アダム」
「奥様、門の前でシード様がお待ちです。お気を付けてお出かけ下さいませ」
ニコニコと笑顔のアダムにいってきますと挨拶をして小走りに門に急ぐと白い美しい馬を撫でているシードが視界に入ってきた
馬の毛並みに沿うようにブラッシングをしているシードにおまたせ~と笑顔で駆け寄ると、シードは手を止めてジッとこちらを見つめてくる
「やっぱり可愛いな」
「・・・何が??」
「そのワンピースに少し巻いた銀の髪。懐かしい」
「あれ?初めて会った時ってこの服だったっけ?」
「その服を着ていた時に見た事があるだけだ」
「???言ってる事が良く分からないわ」
「まあ、いーじゃねーか。行くぞ」
屋敷から城下町までは馬で少し飛ばせば直ぐに着いてしまう距離にあり、あっとゆう間の散歩に名残惜しい気分だったが
華やかな王都城下町の入り口に着くとワクワクが止まらなかった
「シード様!!」
「お疲れ様です!」
「ああ、馬を預かっててくれねぇか?少し買い物をしたいんでな」
了解致しましたと敬礼してくる兵士に私もぺこりと頭を下げる。物珍しそうに見られて苦笑いしつつもシードに手を引かれて城下町に入った
町に入ると直ぐにアクセサリーや飲食店、お肉や野菜、フルーツ、雑貨などが売りに出されている露店が並びお祭りでも無いのに大勢の人で賑わっている
うわぁーと思わず声に出して走り出そうとすると、シードにまずこっちだと手を引かれて露店から反対の方角に歩き出した
朝ごはんを抜いたからお腹ペコペコだよとシードの腕にもたれかかると、腕の良い商人の店があるから服を先に買おうと言われて渋々彼について行く
大きな店構えをしたりっぱな服飾店に入ると、でっぷりした背の高いおじさまが目を輝かせてシードを迎えてくれた
「シード様!お待ちしてました」
「ん?…何で来るって分かったんだ??」
「朝にアダム様にお聞きしました、シード様と奥様をよろしくお願いいたしますと言われております」
「・・・アダムの奴、いつ聞いてたんだよ。まぁいい。こいつに似合う服を何着か選んで欲しい」
そう言って私の手を引いたシード
1歩前に出ると店主と目が合ったので小さくお辞儀すると急に目を見開いた店主の顔が強ばった
「・・・銀の髪に紫の瞳・・・きゅ、吸血鬼の方ですか?」
「・・・私が吸血鬼?」
異端の目で見る男に、私は吸血鬼と言われて眉を寄せる
だが、そんな分けないでしょとの言葉も何故か自分から出てこない
呆然としていると、シードは1度舌打ちをしてから店主を睨みつける
「・・・俺の嫁に向かって吸血鬼とは良い度胸だなぁ」
「す、すみません。昔に会った事があるので・・・でも、お顔が違いました。申し訳ありません」
「……良かった、間違いなのね。びっくりした」
「・・・セツナ、気にすんな。人違いだ」
「た、大変失礼致しました。直ぐにお洋服を選びますので寸法だけさせて下さい」
「おい」
「はい」
「……お前が寸法すんのか?」
「は、はい。勿論です」
「……こいつに触んなよ」
「……は、はい」
「シードやめて。恥ずかしい」
私のジトリとした目にシードはフイと顔を背けるとレジの近くにあるアクセサリー売り場にスタスタと歩いて行ってしまう。
店主は頭を下げてから、こちらへどうぞとよそよそしく試着室へ案内してくれた。シードを怖がる様子の彼にすみませんと言って簡単に寸法してもらうと
店主は私のサイズに合う服を何着か持ってきてくれる
少し前の物ですがミューズから仕入れた物ですと言って渡された、ブルーのラインが綺麗なコルセット付きのドレスワンピースに目を奪われていると、シードがこっちにしろと言ってとても淡い紫色のタイトなワンピースを私に押し付けてくる
「これが良いの??」
「お前の瞳の色だろ」
「うーん、確かに。ちょっとセクシーだけど美しくていいかな。」
「後……ここに出してあるブルー以外の服を全部くれ」
「かしこまりました、ありがとうございます」
「……シードってブルー嫌いだったっけ??」
「嫌…別に嫌いじゃねぇよ。……ほらよ。これも今しておけ」
「……わぁ。綺麗……」
「おやじ、これも会計に入れて置いてくれ。付けて帰るから」
「はい!ありがとうございます」
手をスリスリしながら嬉しそうな店主を横目に渡された小さな箱の中にはルビーの揺れるタイプのピアスと細身のルビーのネックレスが輝いている
何て綺麗何だろうと思いアクセサリーを手に取ると、ピアスは自分で付けれるだろと言ってネックレスを手に取ったシードは私の首にネックレスを付けて
紫のワンピースに着替えて来いよと少し強引に試着室に押し込んでくる
言われるままに紫のワンピースに着替えてから、ピアスをルビーに変えて鏡を見る。パープルに赤ピンクが鮮やかに写りとても美しい
控えめだけど存在感のあるルビーが胸元の上に光り輝いていて思わずうっとりしてしまう
シードにも褒めて貰いたくて、カーテンを開けてシードの名前を呼ぶと
シードは私を見て花が咲いた様に綺麗に笑った
その顔がとても美しくてカッコよくて……。私は自分の顔が一瞬で真っ赤になるのが分かった
「すっげぇ似合う。こっちで正解だな」
「う、うん。ありがとう」
「何で赤くなってんだ??」
「内緒」
「ふーん。まぁ良い。飯にするか」
「待ってました!!」
「ハハッ!何だそれ。ま、会計は終わってるからそのまま出ようぜ」
「うん。ありがとうシード」
店主に礼を言ってから、沢山の紙袋を持ったシードと店を出て露店に向かう。ステーキ串とエールが良いと私がはしゃいで早足で先に向かうとシードは毎日家で食ってる物食うなよと可笑しそうに笑った
「シード様!!」
「あー、と。これはこれはエルヴィン家の」
「ローズマリーとアナスタシアです」
露店に着くと後ろからそんな声が聞こえて振り返る
どうも見た感じシードはドレスを纏った貴族のご令嬢に挨拶をしている様だった。
シードの分と自分の分の食べ物や飲み物を露店で買って直ぐ隣にあるスペースのベンチに腰を下ろした
随分長く話すなと思い、ステーキとエールを見つめ私はシードを待つのをやめてステーキにかぶりついた
それからごくごくとエールを飲んで幸せに浸っていると、不意に隣にドザっと音が響いてそちらを振り向けば若い男性が隣に座っていた
茶色の短めの髪に、背は高く服は軍服を着ている
目が合った私にニッコリと笑いかけてくるので首を傾げると唐突に口を開いた
「お名前を聞いてもよろしいですか?」
「……セツナですけど」
「素敵な名前ですね」
フワリと笑い茶色の瞳が私を写す。手を取られて握られ一目惚れですと言い出した彼に唖然としたが
茶色の髪に茶色の瞳、背が高く服の鮮やかなブルーに何だか嫌な気分はせずにふふっと笑ってしまう
そんな私につられる様に笑った彼は、どこから来たの??彼氏いる??と唐突に質問してきた。すると、急に彼の足がフワッと浮き上がる
「彼氏は俺だ。誰だテメェ」
「ゲェ!!し!じーどーざまぁ」
「名前名乗れコラァ」
「シード、首絞めてたら話せないでしょ」
それもそうかと言って、後ろから羽交い締めにしていた彼を投げ捨てたシードに男性はゲホゲホと咳をしながら立ち上がり敬礼する
「ラウド隊長の部下のケビンです」
「ラウドの所の奴か。俺の女に何言ってやがった」
「し、シード様の大事な方だったんですね、し、失礼致しました」
「ったく。警備はどうしたんだ」
「しっかりやってましたが、美しい女性がいたので持ち場を離れました」
そう言って私を見てニッコリとしたケビンはウインクを送ってくる
それを見て額に青筋を立てたシードがケビンの脇に蹴りを入れても彼は痛いと言って笑っていた
「ふふふっ、ケビン君面白い」
「いいからさっさと持ち場に戻れ!」
失礼致しましたと敬礼してからにこやかに走っていくケビンに私がまだ余韻で笑っていると、ったく目が離せねぇとシードは舌打ちする
すると
「そこの美しいお嬢さん、私とお茶でもどうですか??」
そう後ろから急に囁かれてビクリとした。
シードがテメェと立ち上がると、そこに立っていたのは笑いを堪えたクルガンだった
「ケビンとのやりとりが面白くて、聞いていたら出遅れた」
「……お前まで何言ってんだ。ったく、びっくりさせんなよ」
「クルガン久しぶり、昨日は贈り物ありがとうね」
「……贈り物とは何の事だ?」
「香水くれたじゃない」
「私は送っていないが……」
クルガンの顔は嘘をついている様な感じでは無い
でも、と続けようとすると眉を潜めたシードが少しクルガンと話があるから待ってろと言って2人は離れていく
そんな2人の背中を見守りながら、買い込んだ食べ物を口いっぱい頬張っているとふと視線を感じて振り返った
少し先の広場の大きな木の下に色素の薄い綺麗な少年と髪をボサボサにしたデカイ熊の様な男が2人で私を見つめている
不釣り合いな2人だなぁと思いながら見ていると、何やらその2人が言い合いを始めた様に見えて
暇つぶしがてら見ていると、2人がふと私を見て悲しそうな顔をした
モグモグと口を動かしながら首を傾げ、何でこっちをずっと見ているのだろうと思っていると
露店の方からシードとクルガンが戻って来て、クルガンが私の横に座る
「セツナ、最近変わった事はありましたか??」
「……何?急に」
「……唐突で申し訳無いですが、色々事情があるので正直にお願いします。」
「……変わった事……。シードの様子ががちょっと変だなって感じた」
「……何故変だと思うのですか?」
「うーん。うまく言えないんだけど、昨日とか様子がおかしく感じたかな。今日は特にそんな事無かったんだけどね。5年ずっと一緒に暮らしてきて初めて違和感感じた」
「5年ずっと一緒に暮らしてきた?」
「あれ?もう6年になるっけ?結婚式やった時にクルガンがスピーチしてくれたんだっけ?」
うーん、うろ覚えー。と言った私にクルガンはシードをチラリと見た
「シード覚えてる??」
「……ああ。まあな……」
「…… セツナ、そう言えば昨日贈り物ありがとうと言いましたが……誰が持ってきましたか?」
「エドガー君だけど」
「ふーむ。そうですか」
「あれ?クルガンの手紙に感動したんだけど、その言い方だとやっぱりクルガンじゃ無かったの?」
「……手紙、シードに預けて貰えますか?その香水も」
「よく分からないけど、分かった。」
「詳しく話せる時になるまで、絶対にシードの傍を離れないで下さい。シードがどうしても離れないといけない時は私が付きますので」
「……?何かあったの?」
ポンポンと肩を優しく叩かれて、返事は返っては来ないけれどそれが返事かなと思い口を閉じた
「早い方が良いだろう、クルガンこのままウチに来いよ。エドガー連れて」
「……そうですね。ちょっとエドガーと話をしてから行きますから先に2人で帰っていて下さい」
「ああ」
クルガンが立ち上がり、じゃあ後程と言って早足で王都に向かって行くのを見送るとシードは私の手をとり町の出口に向かい歩き出した
「……なんかあったんだね」
「……ああ。本当はこのままのが俺は幸せかもしれないが。お前の本当の幸せを考えたら解決した方がいいからな」
「意味がわからないよ」
唐突にグイっと腕を引かれて、唇に噛み付くように口付けられる
王都の鐘が丁度鳴り響いて、太陽に当たった赤い髪が透けて美しい。出口付近に人は少ないがチラホラ居たのも見ていた私は恥ずかしくてシードからゆっくり離れ、瞳を見つめるとそこには切なそうな、悲しそうな瞳で私を見るシードが居た
「……シード」
「……帰るか」
「う、うん」
「また来ような!今日行けなかったが次はペットショップ行こうぜ。セツナは屋敷からあんまり出ねーし猫でも飼うか??」
「やったー!ホワイトタイガーが良い!」
「アホか!アダムとエメルダが死ぬっつーの」
「じゃあ小さい子猫にしよう」
約束ねと、私がシードの腕に抱き着くと、ああ。約束だと言って優しく頬に口付けをくれる
何て幸せなのだろうと感じた。ずっとこんな日が続けばいいなぁと口に出した私に、シードは本当にな。とだけ私に返すと肩に手を回してぎゅっと私を抱きしめてから頬に鼻を擦り寄せてきた
門番の2人から預かっていて貰った馬を返してもらうと、すぐにシードは屋敷に向かい走り出した
直ぐにクルガンが来るからお前は風呂に入って食事は部屋で1人で取るようにと帰って来てそうそう言われた私は素直に頷いて手早く風呂を済ませてから
エメルダが持ってきてくれた食事を取って1人でベッドで寝転がり読書をしていたが結局
シードもクルガンも何の話をしているのだろうと気がかりで本の内容が頭に入ってこずボンヤリとしながら窓の外を見つめていた
少し経つとシードの足音が聞こえてノックも無しにドアが開かれる
「シード、クルガンは?」
「今エドガーを連れて帰った……。なぁ、少し難しい話をするがいいか?」
「……大丈夫」
それから、シードが話してくれた話の内容は自分には理解しがたいものだった
まず香水を送ってきたのはクルガンでは無く、レオンシルババーグとゆう人物でエドガー1人の時に直接接触して来たらしい。この事はクルガンも了承済みと聞かされ、その足で私の元に向かい渡すように言われた
レオンの目的は私を都市同盟に帰さずに、シードと結婚させて戦場に出させない事
記憶を曖昧にさせて今ある環境に都合の良い様に記憶を塗り替える薬を溶かして薔薇のエキスと混ぜた液体を香水にした事
私は本当は吸血鬼で都市同盟に所属していてシードとは敵同士でただの捕虜なんだって事
それを聞いた私は他人事の様に聞こえてしまいどうにも受け入れ難く下を向くしか無かった。
「……聞きたい事があるんだけど……」
「……何だよ言え」
「……シードは私を愛してないのね」
「……そんな訳ねぇだろ。……本当に俺を愛していないのはお前だよ」
その言葉に私はハッとしてシードを見つめた
悔しそうに目を逸らしたシードは何かを言おうとした口を閉ざすと私の上に覆い被さる
「……俺はお前がずっと欲しかった。フリックじゃなく俺を愛して欲しかった」
「……フリック?」
「……香水の香りを嗅がなければ記憶は徐々に戻るらしい。」
「……」
真剣な眼差しで、せめて記憶が戻るまで傍にいて欲しいと言って口付けてくるシードに切なくて涙が出て止まらなくなってしまう
「シードを愛してる気持ちが嘘何て……」
「……本当は言わないで、ずっとこのまま居たかった。だけどよ、何だか偽りみたいで俺の性にあわねぇんだ」
「私はシードと居たい」
「その言葉……いつか本当のお前から聞きたい」
そう言ったシードは私にもう一度優しく口付けると涙がまだ止まらない私の頬に鼻を擦り寄せて背中をあやす様にトントンと撫でる
その夜は泣き疲れて眠るまでシードは私をずっと抱き締めてくれた
それから10日が経った
あれから一切香水は付けず、穏やかな日々を過ごしていた。少しづつ蘇る記憶に最初は戸惑いを隠せなかったが今はもう慣れてきた。とゆうより忘れていた事が今でも不思議でたまらないくらいだった
あの香りを嗅がなくなってから4日目の夜にシードに唇に口付けされた時、思い切りシードの頬をつねった私にシードは少し寂しそうだったが戻って来たなと笑ってくれて私は心から安心した
「ただいま、帰ったぜ」
「おかえり」
ワシワシと頭を撫でて来るシードにワシワシと頭を撫で返す。
唐突に、ルカ様が死んだと言われて私はそう。とだけ返した。
ふぅと息を吐いて私の腰掛けるソファの横に座ったシードは疲れたなと言ってから肩にもたれ掛かるように頭を預けてくる
「……お疲れ様」
「ああ。……ジョウイ殿が即位したらお前の事を都市同盟に帰すと言われた」
「……そう。……レオンの事は平気なの??」
「ジョウイ殿が説得したらしい……。が、俺は詳しくは知らねぇ。」
シード、ありがとうと心から出てきた言葉を伝えて彼の頭をぎゅっと抱き締める
いつもいつでも傍にいて優しさと慰めをくれた。フリックを愛している自分でも記憶を失っても、敵でも体も心も愛してるって全力で伝えて守ってくれた
美しい燃えるような瞳が私を真っ直ぐと見つめる
「なぁ、……もし、この戦争が終わったら俺と結婚して欲しい。俺も……吸血鬼になる覚悟は出来てる。お前を一生1人にはしない」
胸を打たれる様な衝撃を受けて自身の瞳から溢れる様に出て来る涙を拭う。泣くなよと言ってあやす様に私の背を撫でるシード
「……フリックと同じ事を言うのね」
「……同じか……流石俺の見込んだ男だな」
「……今は返事出来ない」
「分かってる。お前がフリックを選ぶならそれも仕方ない。ただ、・・・お前と居た時間が俺には幸せ過ぎて離れるのが辛い」
「……やめてよ。また泣いちゃうじゃない」
少しだけ目を赤くしたシードは私に顔を見られたくないのか目を片手で覆い上を向いた。胸が張り裂けそうになりながら私はシードに伸ばした手を引っ込めて下を向いたまま涙を流した
シードも2人も何か様子が変だなと思いながら、気分転換にドレッサーの引き出しにしまって置いた香水を付けて本棚から適当に小説を取りベッドに入った
15ページ程読んだ所でドアがノックされる音と共に私の返事も待たずズカズカと入って来たシードは私の横にゴロリとねそべるが私の目線の先は先程と変わらず文字を辿る
「・・・なぁ、」
「・・・んー」
本を読む事をやめない私にシードは何も言わずに太ももに顔を乗せて抱き締めてくる
可愛いなぁと言って頭を撫でると、何故か悲しそうに苦笑いのシードは俺の事愛してるか?と小さく呟いた
「当たり前じゃない」
「・・・お前は俺のどの辺が好きで一緒になったんだ?」
「うーん。全部かなぁ。でも・・・強いて言うならずっと守って大事にしてくれそうな所とか、一緒にいると楽しくて笑顔でいれる所かな」
「・・・セツナ・・・」
「・・・やっぱり変なシード、普段そんな事聞かないし。いつもはもっと男らしくて亭主関白なのに。今日は何か変な感じ」
「・・・その思い出は・・・いや、何でもねぇ」
首を傾げた私にシードは本を奪うと深く口付けして来る。目尻が下がり何だか悲しい顔をしたシードを不思議に思うが、何も言わずにそのまま口付けに応える
舌をいやらしく愛撫されながら服の中に入って来た手が激しく胸を揉みしだく
少しづつ気分が高揚してきた私の顔を見つめたシードは満足そうに目を細めてから胸の突起に舌を這わせる
その優しく熱い唇にビクビクと足が震える程感じてしまう
何だか今日は凄く求めて来てくれて嬉しいのだけど、
行為も激しくシードの心が荒れているように感じる
もう片方の手が肉芽に触れ、耐え切れずにあぁと思わず声を出してしまうと気持ちいいか?と耳元で囁いたシードに私は恥ずかしくて顔を背けてしまう
それを見てフッと笑ったシードは耳の中に舌を入れ、肉芽を潰しながら太い指を中に入れて探る様に指を動かしてくる
我慢出来ずに出てしまう声を抑えようとして自分の手で口を塞いだ
「……声我慢すんなよ」
可愛いぜと耳元で囁かれながら1番弱い所を擦られた私は簡単に達してしまう。仰け反る腰を掴まれてその余韻に浸る暇なく直ぐに奥まで挿入され、激しく動かされると気持ちが良くて目に涙が溜まってくる
上半身を起こされてそのまま対面に座らされると私の涙に口付けながら深く入っている自身を突き動かしてくる
「ふっ、シード……も、だめ……、」
「…悪ぃ、優しくできねぇ」
「……シードの余裕無い顔可愛い……」
「……お前のが可愛いよ」
そう囁かれた途端に胸が熱くなりぎゅっとシードを抱き締める
その可愛い顔も全部俺のものだと言って私に激しく口付けてくるシードが何故か茶金髪のハンサムな男性と重なって見えた
朝起きると裸のまま私を胸に抱き眠るシードが居て何だか安心した。昨日から皆の様子がおかしいと感じるのは私の勘違いでは無い筈だ
少しだけ不安になり、シードの髪を起きないように優しく触っていると、何故か前髪の一部は金色だった様な気がして不思議に思う
ふと耳を触り、眠るのに外して無かったなとピアスを何となく外した。綺麗な光り輝く濃いブルーの石
赤くキラキラした粒模様も見える
「・・・この石何だろう・・・」
「・・・それはアイオライトブラッドショットだ。」
ぽつり呟いた私に急に返事が返ってきて、おはようさんと優しく口付けられる
「アイオライト・・・。知らない石、シードがくれたんだっけ?記憶に無いけど」
「・・・俺が会った時にはもうしてたけどな」
「そんな昔から」
「昔ねぇ。・・・アクセサリーとか服でも買いに行くか。ルルノイエの城下町なら近いしな」
「特に足りてるわよ」
「まぁ、たまには良いじゃねーか。付き合えよ」
シャワー浴びてくると立ち上がったシードに、出かけるなら私も浴びると元気良く立ち上がるとシードに続いて部屋を出た
湯を浴びてからクローゼットに掛けてある黒い肩が出たワンピースとショートブーツを身に付け化粧をして髪を軽く巻いてと慌ただしく支度をしていると、珍しく灰色に黒のラインの入った軍服を着ているシードが部屋に入ってくる
「支度は終わったか?お姫様」
「少々お待ち下さいませ、私の騎士様」
「まだかかる様なら馬の準備をしてくるから終わったら外に来いよ」
「はーい」
髪の毛をセットして、香水を付けた私は1度立ち上がり鏡の前で自身の姿を見つめる
黒いスリットのワンピースに良く映えるブルーのピアス。何だかとても懐かし感じて違和感を覚えたが
シードが待っているから早く行かなくちゃと私はそのまま部屋を出て屋敷の玄関から外に出た
手入れがされている薔薇の庭園を門に向かい歩いていると、向こうから沢山の紙袋を持ったアダムがこちらに歩いてくるのが見えて手を振ればアダムは爽やかに頭を下げた
「おかえりなさい!アダム」
「奥様、門の前でシード様がお待ちです。お気を付けてお出かけ下さいませ」
ニコニコと笑顔のアダムにいってきますと挨拶をして小走りに門に急ぐと白い美しい馬を撫でているシードが視界に入ってきた
馬の毛並みに沿うようにブラッシングをしているシードにおまたせ~と笑顔で駆け寄ると、シードは手を止めてジッとこちらを見つめてくる
「やっぱり可愛いな」
「・・・何が??」
「そのワンピースに少し巻いた銀の髪。懐かしい」
「あれ?初めて会った時ってこの服だったっけ?」
「その服を着ていた時に見た事があるだけだ」
「???言ってる事が良く分からないわ」
「まあ、いーじゃねーか。行くぞ」
屋敷から城下町までは馬で少し飛ばせば直ぐに着いてしまう距離にあり、あっとゆう間の散歩に名残惜しい気分だったが
華やかな王都城下町の入り口に着くとワクワクが止まらなかった
「シード様!!」
「お疲れ様です!」
「ああ、馬を預かっててくれねぇか?少し買い物をしたいんでな」
了解致しましたと敬礼してくる兵士に私もぺこりと頭を下げる。物珍しそうに見られて苦笑いしつつもシードに手を引かれて城下町に入った
町に入ると直ぐにアクセサリーや飲食店、お肉や野菜、フルーツ、雑貨などが売りに出されている露店が並びお祭りでも無いのに大勢の人で賑わっている
うわぁーと思わず声に出して走り出そうとすると、シードにまずこっちだと手を引かれて露店から反対の方角に歩き出した
朝ごはんを抜いたからお腹ペコペコだよとシードの腕にもたれかかると、腕の良い商人の店があるから服を先に買おうと言われて渋々彼について行く
大きな店構えをしたりっぱな服飾店に入ると、でっぷりした背の高いおじさまが目を輝かせてシードを迎えてくれた
「シード様!お待ちしてました」
「ん?…何で来るって分かったんだ??」
「朝にアダム様にお聞きしました、シード様と奥様をよろしくお願いいたしますと言われております」
「・・・アダムの奴、いつ聞いてたんだよ。まぁいい。こいつに似合う服を何着か選んで欲しい」
そう言って私の手を引いたシード
1歩前に出ると店主と目が合ったので小さくお辞儀すると急に目を見開いた店主の顔が強ばった
「・・・銀の髪に紫の瞳・・・きゅ、吸血鬼の方ですか?」
「・・・私が吸血鬼?」
異端の目で見る男に、私は吸血鬼と言われて眉を寄せる
だが、そんな分けないでしょとの言葉も何故か自分から出てこない
呆然としていると、シードは1度舌打ちをしてから店主を睨みつける
「・・・俺の嫁に向かって吸血鬼とは良い度胸だなぁ」
「す、すみません。昔に会った事があるので・・・でも、お顔が違いました。申し訳ありません」
「……良かった、間違いなのね。びっくりした」
「・・・セツナ、気にすんな。人違いだ」
「た、大変失礼致しました。直ぐにお洋服を選びますので寸法だけさせて下さい」
「おい」
「はい」
「……お前が寸法すんのか?」
「は、はい。勿論です」
「……こいつに触んなよ」
「……は、はい」
「シードやめて。恥ずかしい」
私のジトリとした目にシードはフイと顔を背けるとレジの近くにあるアクセサリー売り場にスタスタと歩いて行ってしまう。
店主は頭を下げてから、こちらへどうぞとよそよそしく試着室へ案内してくれた。シードを怖がる様子の彼にすみませんと言って簡単に寸法してもらうと
店主は私のサイズに合う服を何着か持ってきてくれる
少し前の物ですがミューズから仕入れた物ですと言って渡された、ブルーのラインが綺麗なコルセット付きのドレスワンピースに目を奪われていると、シードがこっちにしろと言ってとても淡い紫色のタイトなワンピースを私に押し付けてくる
「これが良いの??」
「お前の瞳の色だろ」
「うーん、確かに。ちょっとセクシーだけど美しくていいかな。」
「後……ここに出してあるブルー以外の服を全部くれ」
「かしこまりました、ありがとうございます」
「……シードってブルー嫌いだったっけ??」
「嫌…別に嫌いじゃねぇよ。……ほらよ。これも今しておけ」
「……わぁ。綺麗……」
「おやじ、これも会計に入れて置いてくれ。付けて帰るから」
「はい!ありがとうございます」
手をスリスリしながら嬉しそうな店主を横目に渡された小さな箱の中にはルビーの揺れるタイプのピアスと細身のルビーのネックレスが輝いている
何て綺麗何だろうと思いアクセサリーを手に取ると、ピアスは自分で付けれるだろと言ってネックレスを手に取ったシードは私の首にネックレスを付けて
紫のワンピースに着替えて来いよと少し強引に試着室に押し込んでくる
言われるままに紫のワンピースに着替えてから、ピアスをルビーに変えて鏡を見る。パープルに赤ピンクが鮮やかに写りとても美しい
控えめだけど存在感のあるルビーが胸元の上に光り輝いていて思わずうっとりしてしまう
シードにも褒めて貰いたくて、カーテンを開けてシードの名前を呼ぶと
シードは私を見て花が咲いた様に綺麗に笑った
その顔がとても美しくてカッコよくて……。私は自分の顔が一瞬で真っ赤になるのが分かった
「すっげぇ似合う。こっちで正解だな」
「う、うん。ありがとう」
「何で赤くなってんだ??」
「内緒」
「ふーん。まぁ良い。飯にするか」
「待ってました!!」
「ハハッ!何だそれ。ま、会計は終わってるからそのまま出ようぜ」
「うん。ありがとうシード」
店主に礼を言ってから、沢山の紙袋を持ったシードと店を出て露店に向かう。ステーキ串とエールが良いと私がはしゃいで早足で先に向かうとシードは毎日家で食ってる物食うなよと可笑しそうに笑った
「シード様!!」
「あー、と。これはこれはエルヴィン家の」
「ローズマリーとアナスタシアです」
露店に着くと後ろからそんな声が聞こえて振り返る
どうも見た感じシードはドレスを纏った貴族のご令嬢に挨拶をしている様だった。
シードの分と自分の分の食べ物や飲み物を露店で買って直ぐ隣にあるスペースのベンチに腰を下ろした
随分長く話すなと思い、ステーキとエールを見つめ私はシードを待つのをやめてステーキにかぶりついた
それからごくごくとエールを飲んで幸せに浸っていると、不意に隣にドザっと音が響いてそちらを振り向けば若い男性が隣に座っていた
茶色の短めの髪に、背は高く服は軍服を着ている
目が合った私にニッコリと笑いかけてくるので首を傾げると唐突に口を開いた
「お名前を聞いてもよろしいですか?」
「……セツナですけど」
「素敵な名前ですね」
フワリと笑い茶色の瞳が私を写す。手を取られて握られ一目惚れですと言い出した彼に唖然としたが
茶色の髪に茶色の瞳、背が高く服の鮮やかなブルーに何だか嫌な気分はせずにふふっと笑ってしまう
そんな私につられる様に笑った彼は、どこから来たの??彼氏いる??と唐突に質問してきた。すると、急に彼の足がフワッと浮き上がる
「彼氏は俺だ。誰だテメェ」
「ゲェ!!し!じーどーざまぁ」
「名前名乗れコラァ」
「シード、首絞めてたら話せないでしょ」
それもそうかと言って、後ろから羽交い締めにしていた彼を投げ捨てたシードに男性はゲホゲホと咳をしながら立ち上がり敬礼する
「ラウド隊長の部下のケビンです」
「ラウドの所の奴か。俺の女に何言ってやがった」
「し、シード様の大事な方だったんですね、し、失礼致しました」
「ったく。警備はどうしたんだ」
「しっかりやってましたが、美しい女性がいたので持ち場を離れました」
そう言って私を見てニッコリとしたケビンはウインクを送ってくる
それを見て額に青筋を立てたシードがケビンの脇に蹴りを入れても彼は痛いと言って笑っていた
「ふふふっ、ケビン君面白い」
「いいからさっさと持ち場に戻れ!」
失礼致しましたと敬礼してからにこやかに走っていくケビンに私がまだ余韻で笑っていると、ったく目が離せねぇとシードは舌打ちする
すると
「そこの美しいお嬢さん、私とお茶でもどうですか??」
そう後ろから急に囁かれてビクリとした。
シードがテメェと立ち上がると、そこに立っていたのは笑いを堪えたクルガンだった
「ケビンとのやりとりが面白くて、聞いていたら出遅れた」
「……お前まで何言ってんだ。ったく、びっくりさせんなよ」
「クルガン久しぶり、昨日は贈り物ありがとうね」
「……贈り物とは何の事だ?」
「香水くれたじゃない」
「私は送っていないが……」
クルガンの顔は嘘をついている様な感じでは無い
でも、と続けようとすると眉を潜めたシードが少しクルガンと話があるから待ってろと言って2人は離れていく
そんな2人の背中を見守りながら、買い込んだ食べ物を口いっぱい頬張っているとふと視線を感じて振り返った
少し先の広場の大きな木の下に色素の薄い綺麗な少年と髪をボサボサにしたデカイ熊の様な男が2人で私を見つめている
不釣り合いな2人だなぁと思いながら見ていると、何やらその2人が言い合いを始めた様に見えて
暇つぶしがてら見ていると、2人がふと私を見て悲しそうな顔をした
モグモグと口を動かしながら首を傾げ、何でこっちをずっと見ているのだろうと思っていると
露店の方からシードとクルガンが戻って来て、クルガンが私の横に座る
「セツナ、最近変わった事はありましたか??」
「……何?急に」
「……唐突で申し訳無いですが、色々事情があるので正直にお願いします。」
「……変わった事……。シードの様子ががちょっと変だなって感じた」
「……何故変だと思うのですか?」
「うーん。うまく言えないんだけど、昨日とか様子がおかしく感じたかな。今日は特にそんな事無かったんだけどね。5年ずっと一緒に暮らしてきて初めて違和感感じた」
「5年ずっと一緒に暮らしてきた?」
「あれ?もう6年になるっけ?結婚式やった時にクルガンがスピーチしてくれたんだっけ?」
うーん、うろ覚えー。と言った私にクルガンはシードをチラリと見た
「シード覚えてる??」
「……ああ。まあな……」
「…… セツナ、そう言えば昨日贈り物ありがとうと言いましたが……誰が持ってきましたか?」
「エドガー君だけど」
「ふーむ。そうですか」
「あれ?クルガンの手紙に感動したんだけど、その言い方だとやっぱりクルガンじゃ無かったの?」
「……手紙、シードに預けて貰えますか?その香水も」
「よく分からないけど、分かった。」
「詳しく話せる時になるまで、絶対にシードの傍を離れないで下さい。シードがどうしても離れないといけない時は私が付きますので」
「……?何かあったの?」
ポンポンと肩を優しく叩かれて、返事は返っては来ないけれどそれが返事かなと思い口を閉じた
「早い方が良いだろう、クルガンこのままウチに来いよ。エドガー連れて」
「……そうですね。ちょっとエドガーと話をしてから行きますから先に2人で帰っていて下さい」
「ああ」
クルガンが立ち上がり、じゃあ後程と言って早足で王都に向かって行くのを見送るとシードは私の手をとり町の出口に向かい歩き出した
「……なんかあったんだね」
「……ああ。本当はこのままのが俺は幸せかもしれないが。お前の本当の幸せを考えたら解決した方がいいからな」
「意味がわからないよ」
唐突にグイっと腕を引かれて、唇に噛み付くように口付けられる
王都の鐘が丁度鳴り響いて、太陽に当たった赤い髪が透けて美しい。出口付近に人は少ないがチラホラ居たのも見ていた私は恥ずかしくてシードからゆっくり離れ、瞳を見つめるとそこには切なそうな、悲しそうな瞳で私を見るシードが居た
「……シード」
「……帰るか」
「う、うん」
「また来ような!今日行けなかったが次はペットショップ行こうぜ。セツナは屋敷からあんまり出ねーし猫でも飼うか??」
「やったー!ホワイトタイガーが良い!」
「アホか!アダムとエメルダが死ぬっつーの」
「じゃあ小さい子猫にしよう」
約束ねと、私がシードの腕に抱き着くと、ああ。約束だと言って優しく頬に口付けをくれる
何て幸せなのだろうと感じた。ずっとこんな日が続けばいいなぁと口に出した私に、シードは本当にな。とだけ私に返すと肩に手を回してぎゅっと私を抱きしめてから頬に鼻を擦り寄せてきた
門番の2人から預かっていて貰った馬を返してもらうと、すぐにシードは屋敷に向かい走り出した
直ぐにクルガンが来るからお前は風呂に入って食事は部屋で1人で取るようにと帰って来てそうそう言われた私は素直に頷いて手早く風呂を済ませてから
エメルダが持ってきてくれた食事を取って1人でベッドで寝転がり読書をしていたが結局
シードもクルガンも何の話をしているのだろうと気がかりで本の内容が頭に入ってこずボンヤリとしながら窓の外を見つめていた
少し経つとシードの足音が聞こえてノックも無しにドアが開かれる
「シード、クルガンは?」
「今エドガーを連れて帰った……。なぁ、少し難しい話をするがいいか?」
「……大丈夫」
それから、シードが話してくれた話の内容は自分には理解しがたいものだった
まず香水を送ってきたのはクルガンでは無く、レオンシルババーグとゆう人物でエドガー1人の時に直接接触して来たらしい。この事はクルガンも了承済みと聞かされ、その足で私の元に向かい渡すように言われた
レオンの目的は私を都市同盟に帰さずに、シードと結婚させて戦場に出させない事
記憶を曖昧にさせて今ある環境に都合の良い様に記憶を塗り替える薬を溶かして薔薇のエキスと混ぜた液体を香水にした事
私は本当は吸血鬼で都市同盟に所属していてシードとは敵同士でただの捕虜なんだって事
それを聞いた私は他人事の様に聞こえてしまいどうにも受け入れ難く下を向くしか無かった。
「……聞きたい事があるんだけど……」
「……何だよ言え」
「……シードは私を愛してないのね」
「……そんな訳ねぇだろ。……本当に俺を愛していないのはお前だよ」
その言葉に私はハッとしてシードを見つめた
悔しそうに目を逸らしたシードは何かを言おうとした口を閉ざすと私の上に覆い被さる
「……俺はお前がずっと欲しかった。フリックじゃなく俺を愛して欲しかった」
「……フリック?」
「……香水の香りを嗅がなければ記憶は徐々に戻るらしい。」
「……」
真剣な眼差しで、せめて記憶が戻るまで傍にいて欲しいと言って口付けてくるシードに切なくて涙が出て止まらなくなってしまう
「シードを愛してる気持ちが嘘何て……」
「……本当は言わないで、ずっとこのまま居たかった。だけどよ、何だか偽りみたいで俺の性にあわねぇんだ」
「私はシードと居たい」
「その言葉……いつか本当のお前から聞きたい」
そう言ったシードは私にもう一度優しく口付けると涙がまだ止まらない私の頬に鼻を擦り寄せて背中をあやす様にトントンと撫でる
その夜は泣き疲れて眠るまでシードは私をずっと抱き締めてくれた
それから10日が経った
あれから一切香水は付けず、穏やかな日々を過ごしていた。少しづつ蘇る記憶に最初は戸惑いを隠せなかったが今はもう慣れてきた。とゆうより忘れていた事が今でも不思議でたまらないくらいだった
あの香りを嗅がなくなってから4日目の夜にシードに唇に口付けされた時、思い切りシードの頬をつねった私にシードは少し寂しそうだったが戻って来たなと笑ってくれて私は心から安心した
「ただいま、帰ったぜ」
「おかえり」
ワシワシと頭を撫でて来るシードにワシワシと頭を撫で返す。
唐突に、ルカ様が死んだと言われて私はそう。とだけ返した。
ふぅと息を吐いて私の腰掛けるソファの横に座ったシードは疲れたなと言ってから肩にもたれ掛かるように頭を預けてくる
「……お疲れ様」
「ああ。……ジョウイ殿が即位したらお前の事を都市同盟に帰すと言われた」
「……そう。……レオンの事は平気なの??」
「ジョウイ殿が説得したらしい……。が、俺は詳しくは知らねぇ。」
シード、ありがとうと心から出てきた言葉を伝えて彼の頭をぎゅっと抱き締める
いつもいつでも傍にいて優しさと慰めをくれた。フリックを愛している自分でも記憶を失っても、敵でも体も心も愛してるって全力で伝えて守ってくれた
美しい燃えるような瞳が私を真っ直ぐと見つめる
「なぁ、……もし、この戦争が終わったら俺と結婚して欲しい。俺も……吸血鬼になる覚悟は出来てる。お前を一生1人にはしない」
胸を打たれる様な衝撃を受けて自身の瞳から溢れる様に出て来る涙を拭う。泣くなよと言ってあやす様に私の背を撫でるシード
「……フリックと同じ事を言うのね」
「……同じか……流石俺の見込んだ男だな」
「……今は返事出来ない」
「分かってる。お前がフリックを選ぶならそれも仕方ない。ただ、・・・お前と居た時間が俺には幸せ過ぎて離れるのが辛い」
「……やめてよ。また泣いちゃうじゃない」
少しだけ目を赤くしたシードは私に顔を見られたくないのか目を片手で覆い上を向いた。胸が張り裂けそうになりながら私はシードに伸ばした手を引っ込めて下を向いたまま涙を流した
13/13ページ