MEMO
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20221004(火)23:33
「金髪に天使の輪、それに空を歩けるわ」
「だから、天使?」
「そう、あなたの日よ」
10月4日は(てん)(し)で天使の日と言うらしい、それを聞いた夢主はキッチンに駆けて来て自身の頭に浮かんだ天使に抱き着く。突然の抱擁を受けたサンジは戸惑いながらも夢主の話をうんうんって頷きながら聞いてくれる。
「おれにしちゃ、君の方が天使なんだけどなァ」
「私?ないない」
否定する夢主に向かってサンジは、死ぬ時は君に迎えに来て欲しいな、って穏やかな笑みを見せる。そんなの絵本の中だけの迷信よ、って夢主は呆れたように肩を竦めるんだけどサンジはどうやら信じているらしい。
「君より一日だけ長生きするからさ、迎えに来てよ」
「なんで一日?」
「夢主ちゃんが寂しがらねェように」
「ふふ、最期までレディファーストなのね」
本当は自身の方が寂しがり屋なくせに最期の時までレディ優先の目の前の男がひどく愛しいと思った夢主はサンジの首に腕を回して、最期の日は白いワンピースでお迎えに行くわ、と笑って見せた。
「天使っぽいでしょ?」
「なら、おれもおめかししねェと♡」
最期の日を迎えた後もサンジといたいと思う夢主の話
🍳01
20220917(土)17:24※サンジくんの元カノの存在匂わせがあります
俺って優しいだけの男なんだって、って煙草吸いながら少しだけ俯くサンジくん。その優しさは美徳だ、誇れるものであって貶されていいものじゃない、って一味の全員が思っている事だからサンジくんに誰に言われたの?って問い掛ける夢主ちゃん。
「あはは、忘れちゃった」
その顔はどう見ても嘘に失敗した顔だった、きっと名前だって覚えてるし過去に大事にしていた人なんだろうな、って夢主ちゃんには分かっちゃう。
「それって、レディでしょ?」
「何でそう思うんだい?」
「女の勘よ」
サンジくんは自分が傷付いても、どんな言葉を投げ掛けられても一人でこうやって痛みに堪えようとする。過去の瘡蓋が捲れて傷口から血が出ても、過去の事だよ、って傷口を隠してしまうのがサンジくん。
「次に同じ事を言われたら私を呼んでね」
「夢主ちゃんを?」
「貴方がどれだけ優しいか語ってあげるわよ、それにその子より私の方がサンジくんに優しくされてるもの!」
サンジくんは眩しそうに彼女を見つめて、自身の金髪をくしゃりと掻いた。あー、うー、と言葉にならない声をあげながら夢主ちゃんの言葉を幸せそうに噛み締める。
「君だって優しいよ」
「あら、好きな人には優しくするものでしょ?」
「あァ、君の言う通りさ」
夢主ちゃんは自身の肩に寄り掛かってきた金髪を撫でながら、サンジくんの愛から逃げた顔も知らないレディに舌を出す。ざまぁみろ、と。
夢主ちゃんが「私も顔だけだ、って言われた事あるわよ」って何てことない顔で言ったら両肩グッと掴まれて「夢主ちゃんは顔だけじゃねェ!!!!!それに内面の良さは顔に出るんだよ!!!!」って自分が言われたのかな?って勢いで顔も知らない元カレのこと怒ってくれるし、オロすだけじゃ足りねェ、なら、去勢してからか?って物騒なこと言うから夢主ちゃんは笑けてきちゃう。
「サンジくんが怒ってくれたからもういいわ」
「……でも、その頃の君は悲しんだろ?」
「いい気分では無かったのは確か」
「その頃の君を救ってはあげられないけど、これからは約束出来るよ。おれは毎日、君の良さに気付くんだ、気のいい人だなって、やっぱり優しい女性だって、そしておれの料理に喜ぶ姿はクソ可愛いんだって毎日、君に伝えるよ。」
君は素敵だよ、レディ、ってサンジくんは泣きそうな夢主ちゃんの頭を子供をあやすみたいに優しく撫でる。
「……また好きになっちゃうわ」
「おれもまた君が愛おしいと思ったよ」