短編3
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「サンジ、シャツ貸して」
早朝の男部屋、この時間に起きているのは勿論サンジだけだ。朝食の支度をする前に自身の支度があるサンジの朝は早い、着替えに髭剃り、髪の毛のセット。今も着替えの真っ只中だったのだろう、サンジはネクタイに手を掛けたまま、開いたドアに視線を向ける。
「へ、おれのシャツ?」
「最近、天気が悪いでしょ?」
だから、洗濯が間に合ってないのよ、と彼女はうんざりした顔で肩を竦めた。今の彼女の服装はキャミソールにショートパンツ、無防備に曝け出した肌がサンジの瞳を焼くようだ。くらりと傾きそうな身体をどうにか持ち堪え、彼女に手招きをするサンジ。
「どれがいいかな?」
ファッションにこだわりがあるサンジは他の男性陣よりも衣装持ちだ。シャツの色を遊ばせてみたり、カラースーツでスーツの堅苦しいイメージを拭ってみたり、その日の気分や天候に合わせて支度をするこの時間がサンジは好きだった。
「あ、こないだ着てたやつだ。可愛い」
ハンガーからシャツを外して自身の身体にあてる彼女。グッジョブ、体格差、と親指を突き出しているサンジをスルーして彼女はキャミソールの上からサンジのシャツを羽織っていく。
「でも、何でおれ?」
「ん?」
「ナミさんやロビンちゃん、それにウソップなんかは割と女の子が着てもイケそうな格好してるだろ?」
サンジの意見は最もだ。女性陣は彼女一人ではないし、二人と趣味が合わないわけでもない。確かにナミの服は布面積が少ない為、彼女からしたら落ち着かないとは思うが全ての服がそういうわけでもない。ウソップだってそうだ、普段からユニセックスなイメージのダボッとした服を着ている事が多いウソップの服の方がサイズを気にせずに着れる筈なのだ。
「ナミはベリーが犠牲になるし、レディ二人をこんな時間に起こすのはナンセンスでしょ?それに男性陣で一番綺麗なのはサンジだもの、あなたが回収しなきゃ一生洗濯に出さないわよ。コイツら」
「……ったく、不潔な奴らで困っちまう」
サンジは頭をくしゃりと掻きながら男部屋の隅に丸められたTシャツに顔を顰めた。言ってる傍からあいつら、とまるで汚物を触るようにTシャツを指で摘むサンジ。そんな、サンジの態度に彼女はシャツの裾をヒラヒラと揺らしながら笑っている。
「これ、借りてもいい?」
「うん、どうぞ」
良く似合ってるよ、と褒め言葉も忘れないサンジは空いた腕で彼女を引き寄せると彼女の耳元に顔を近付ける。
「サンジ……?」
「……洗濯出来てねェって言ってたけどさ、うちの優しい船医が言ってたぜ?」
一昨日、君と一緒に洗濯したってさ、そう言ってサンジはキャミソール越しに彼女の脇腹をやらしい手付きで撫でる。
「嘘は駄目だよ、レディ」
「……ま、まだ、乾いてないだけよ」
「っ、くく、一昨日と昨日は晴天だったのに?」
君の嘘に騙されてあげてェのは山々だけど今回は駄目、とサンジは意地が悪い笑みを浮かべてこう続ける。
「で、何でおれなのかな?レディ」
彼女は寝ている仲間達に助けてくれと念を送るが直ぐにサンジの手が彼女の顎を掴み、自身の方を向かせる。
「余所見しねェで、おれがいいって言ってよ。ナマエちゃん」