短編3
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落ち度は私にある、サンジは紛れていたから持って来てくれただけだ。言わば、親切心だ。だが、そのニヤケ面はいただけない。
「……盗んだ?」
「人聞きが悪ィなぁ、おれは君の忘れ物を届けに来ただけだぜ?」
そう言って、サンジは自身の洗濯物と紛れていた私のパンツをヒラヒラと翳しながら、だらしのない顔を晒す。届ける際に確認しなかった私が悪いのは理解している。だが、そんな顔をされてしまっては素直に礼をする気にはならない。
「変態、ドスケベ」
ありったけの罵詈を浴びせながら、サンジの手から自身のパンツを奪い返そうとするがサンジは私をひらりと躱し、頭上にパンツを掲げる。
「馬鹿、っ、もう!」
顔を真っ赤にしながらパンツに腕を伸ばす私はとんだ間抜けだ。身長差のせいでジャンプをしたって、サンジの手からパンツを奪い取る事すら出来ない。
「ただの布だよ、レディ。そんな騒ぎ立てる事じゃない」
布なんだし恥ずかしがる必要もないよ、そう言って私の腰に腕を回し、自身の方に私を引き寄せるサンジ。
「ただの布でも恥ずかしいものは恥ずかしいのよ!」
ふぅん、とサンジは意地の悪い相槌を打つと私の手にポンとパンツを置いた。それを素早く丸めると私は自身の尻ポケットに突っ込む。そんな私の反応が面白かったのか、サンジは喉を鳴らして笑う。
「ただの布なのに大袈裟だって言いたいんでしょ」
そう言って、サンジの腕の中で腕を組んで不貞腐れる私。ふん、とそっぽを向いた私の頭にサンジは顎をのせて、こう口にする。
「生憎、おれはただの布に欲情する趣味はねェんだ」
「……紐パンの時は喜んでたし、フロントホックのブラの時は興奮してたわ」
「中身があってこそだよ」
紐パンもフロントホックのブラも君のオマケだったから興奮した、とサンジは私のショートパンツから覗いたパンツの紐をするりと指に引っ掛けて、そのまま右の出っ張った腰骨をなぞる。
「要するに君に欲情してるってコト」
布じゃなくてね、そう言ってサンジは私の耳元に顔を寄せる。フッ、と吐き出したサンジの吐息が耳の裏にかかり、ぞくりとした感覚が私の背中に走る。
「緊張しねェで」
「……サンジがそういうこと言うから」
「ふは、意識した?」
余裕ぶったサンジの態度が憎い、と頭上にあるサンジの顔を睨み付ければ想像とは違った声が返ってくる。
「全然余裕なんてねェけど」
「嘘でしょ」
「嘘じゃねェよ」
今だって試されてる気分だ、とサンジは言う。
「危機感がねェのはいただけねェよ、レディ」
「……危機感?」
下着の忘れ物もこんな無防備な格好もおれの前だけにしてね、そう口にするサンジの顔は先程とは打って変わって余裕のない顔をしている。
「サンジの前だからよ」
少々、狡い台詞を吐けば目の前の悪戯な指が私の顎を掬い上げ、少しだけ乱暴なキスでその口を塞がれるのだった。