短編3
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愛の血管が直接、心臓に繋がってるんだって、そう言って左手の薬指に口付けを落とすサンジ。左手の薬指は昔から心臓、命にもっとも近い指だとされている。握って、絡めた拍子に揃いの指輪がぶつかる。美しく輝くシルバーも悪くないが、私はこの指輪が美しく傷付いていくのを心待ちにしている。私達が年齢を重ねるのと同じで、この指輪も人生を重ねるのだ。
「おっと、いけねェ」
このままじゃ、君を愛せねェ、とサンジはパッと私から離れるとベッドから起き上がる。
「このままでいいのに」
「だーめ、君の柔肌に傷がついたら立ち直れねェもん」
「大袈裟ね」
ベッドから立ち上がったサンジは外した指輪を分かりやすい場所に置く。行為の前の儀式と言えばいいのか、必ずサンジは行為をする際に指輪を外す。先程言っていた通り、私に傷を付けてしまう事がどうしても嫌らしい。相変わらずの過保護に文句を垂れるつもりはないが、その姿を見ると身体がおかしくなるのだ。サンジが指輪を外したら行為がはじまる、と無意識に教え込まれた身体がきゅんと切なくサンジの熱を求めるように疼いた。
こちらに視線だけを寄越したサンジは焦らすようにゆっくりとベッドの端に腰掛けると私に手招きをする。おいで、と広げられた腕にするりと猫のように近付いてサンジの硬い膝の上に乗る。
「君の柔肌に傷を付けたくねェのも本音だよ」
「ん、っ」
露出度の高いワンピースから覗いた私の胸の谷間に顔を埋めて、キスをするサンジ。恥ずかしさよりも擽ったさが上回り、つい身を捩る。漏れた私の声に喉を鳴らして笑ったサンジは私の揺れる瞳を見つめながら、こう口にした。
「もう一つはね、」
今から君を犯すって教えてあげる為だよ、そう言ってサンジは私の左手に自身の右手を絡め、薬指に口付けを落とす。もう、指を絡めたって互いの指輪はぶつからない。
「っ、くく、震えちゃってかあいいね」
サンジの瞳の奥に浮かんだハートは私の反応を楽しむように爛々と輝く。ベッドに崩れた二人は指輪の代わりに互いの欲と止まらない熱をぶつけ合うのだった。