短編3
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最初の誕生日は離れ離れ、二度目の誕生日も離れ離れ。この二年の成長こそが今の強さに繋がっているとは思う。だが、恋人の節目となる二十歳を祝い損ねて、そこからまた一年祝う事が出来ないとなれば文句の一つや二つ言いたくもなる。今年の誕生日だって当日にお祝い出来るという保証はない。当日、急に敵の能力でまた各地に散り散りにされる可能性だって無くはない。それに生きてる保証も。海賊と言ったって毎日好き勝手にヨーホーヨーホーと呑気に歌を歌い、樽で酒を飲んでいるわけにもいかない。それに私達が所属している麦わらの一味は常識外れで奇想天外な事件に巻き込まれやすい。そして、最近のホットなニュースと言えば四皇の仲間入りだ。もう、ここまでくれば明日死ぬと言われても納得してしまう。
「だから、毎日祝うって?」
「誕生日までの一週間よ」
一週間前から祝っていれば、離れ離れになっても散り散りにされても問題なくサンジの誕生日を祝う事が出来る。利口な考えとは言い切れないが祝えないよりはマシだ。サンジは私が噴射したクラッカーから飛び出したテープやキラキラ光る紙を頭や肩に積もらせながら擽ったそうに笑っている。
「っ、くく、明日もクラッカーを鳴らすの?」
「全部教えたらつまらないでしょ」
「おれはもう十分楽しいけど」
君に祝ってもらえるなら誕生日も悪くねェかもね、とサンジは自身の頭についたテープを摘みながらやけに大人びた表情をする。だが、すぐに表情を切り替えて私に礼を言うサンジ。だから、私も知らないフリを続ける。サンジが自身の誕生日を嫌おうが避けようが知ったこっちゃない、私はサンジが生まれたその一日を愛しているのだ。
「生まれてきてくれてありがとう、サンジ」
「まだ、数日あるけど?」
「こういうのは何回言ってもいいの」
サンジのお腹に腕を回して、今日の分のおめでとうを伝える。あなたの存在に救われている人間がいる事を知って欲しい、その優しさに救われている、そんな気持ちの一つ一つが私の背中を押す。
「明日には枯れちまうかもよ?」
「毎日、愛を口にして飽きた事は?」
「……ねェな」
「でしょ」
得意気に胸を張る私の肩にサンジの頭がぽすんと倒れてくる。サンジのブロンドの髪が首筋に掛かり、少しだけ擽ったい。
「程々に頼むよ、照れちまうから」
「見せてくれないの」
「……カッコ悪ィからパス」
追い打ちを掛けるように耳元に顔を寄せて、普段のサンジの言葉を真似るように甘やかな台詞を口から溢す。
「そんなところも好きよ」
ブロンドの隙間から覗いたサンジの白い耳朶が化粧をはじめる。ほんのりと赤らんだ耳朶にキスをすれば、赤がまた重なった。