短編3
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濁った白に身を沈める。冷えた身体に熱を取り戻すように彼女は肩までしっかりとお湯に浸かり、気持ち良さそうに目を細める。彼女の身体を支えるように座っているサンジは極楽か地獄か、どうにか無心でいようと心の中で素数を数える始末だ。座椅子のようになっているサンジの視界に映る白は入浴剤からなる白ではない。濁り湯から薄く透け、時に濁り湯から顔を出す白肌。一々、女の肌で騒ぎ出すような情けない真似はしたくない。だか、数時間前の自分自身の行動のせいで心を乱すサンジ。美しい彼女の白肌に散った花弁がサンジの理性を試している。サンジは彼女に回していた腕を片方だけ外すと、自身の目元を左手で覆う。そして、脳内で煩悩を消しては反省、また浮かんで来た煩悩を消して反省というどうにもならないループを繰り返す。そんなサンジの気持ちを知りもせずに彼女は鼻歌を奏でだす、小さな両手で濁った湯を掬って純粋に入浴を楽しんでいる彼女。レディは切り替えがお早いこった、と嘆いた所でサンジの気が紛れるわけでもない。
やけに静かなサンジに異変を感じたのか、彼女はふと後ろを振り返る。片手で顔を覆い、天井を見上げる恋人の不自然な姿に思わず困惑してしまう彼女。
「……どんな状況なの」
「理性との戦いかな」
「あんなにしたのに、まだ足りないの?」
サンジは指の隙間からチラリと彼女を見る。こちらを振り返った彼女の身体には沢山の花弁が落ちている、背中だけではなく胸元や首にも残る内出血の痕は見事であり、己のどうしようもない雄の部分を指摘されているような気さえする。
「あとは反省」
指先でトンと花弁の一枚に触れるサンジ、彼女はサンジの指の行方を視線で追う。そして、辿り着いた赤に頬の色を変える。
「……こんなところにまで」
「背中なんてアーティスティック過ぎて見せれねェよ」
もう、と彼女は背中を隠すように湯の中に沈む。その行動一つ一つがいじらしくて堪らないとサンジは違う意味で湯に沈みそうになる。とりあえず、湯の中を血で染めてしまわぬように鼻の下を手の甲で拭うサンジ。
「鼻血は勘弁してね」
「っ、くく、流石に出さねェって」
「どうだか」
そう言って、彼女はサンジを試すようにサンジの色素の薄い肌に唇を寄せた。普段の受け身の彼女からは想像が出来ない程に大胆な行動だ、サンジは擽ったさに身をよじる事も出来ずにその様子を見逃さないように彼女を凝視する。んっ、と甘い吐息を吐き出して離れていく彼女の唇。その下には彼女の身体にも大量に散りばめてあった花弁が一枚ひらりと舞っていた。心臓に一番近い場所を独占する彼女にサンジの心はまた一段と掻き乱される。そして、確実にサンジから理性を奪っていくのだった。