短編2
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着飾ったサンジはきらびやかな背景にも負けずにギラギラと悪い男のような出で立ちをしている、長い脚を白のスラックスに包んでソファの背の部分に座るサンジは先程からプカプカと煙草の煙を燻らせては私にチラリと甘い視線を向けてくる。サンジと私の間には仲間が数人挟まれているが、サングラス越しのサンジの瞳はグラスに色が付いているせいか普段とは違う妖しさがある。その瞳が私の心情を知っているかのようにチラリと向けられては、フッと含んだ笑みを向けられる。
「(……目に毒だ)」
傷んでもいないのに目頭に手を当てウンウンと小さく唸る私にチョッパーが大丈夫かと小さな声で尋ねてくる。カジノ仕様におめかししたチョッパーの頭を帽子越しにポンポンと撫でると私は問題無いわと笑みを作った。
皆がカジノに夢中になっている中、サンジはコツコツと革靴を鳴らして私の横に立った。
「ナマエちゃん」
「どうかした?」
サンジからしたらどうかしてるのはきっと私だ。今だってサンジを出来るだけ視界に入れないようにサンジの黒い革靴の先端を見るか天井を飾る派手なシャンデリアに視線を移すかの二択を繰り返し、挙動不審な態度を取っている。
「こういう場所は苦手かい?」
「ちゃんと楽しんでるわよ」
「それじゃ質問を変えようか、君が集中出来ない理由はおれかい?」
サンジは体を少しだけ屈めて、視線を合わせるように私の顔を覗き込もうとするが私の素直な体はそんなサンジを拒否するようにサンジに背を向ける。
「本当に何でも無いの」
「なら、こっち向いてくれねェかな」
おれでもそんな態度取られたら傷付いちまうよ、とサンジは聞いているだけで切なくなるような声を上げる。そんなサンジの声につられるように後ろを振り向けば、したり顔のサンジが私の腰を自身の方に引き寄せた。
「……騙したわね」
「っ、くく、人聞きが悪ィね」
本当に傷付いてるのに、そう言ってサンジはベッドの上で甘えてくる時のような声を出す。無自覚か意図的か、そんなの考えなくても後者だと分かる。
「それ、やめて」
「それってどれ?」
「……声」
「君が好きな声だろ」
それにこのスーツも、あとはサングラスも君の好みかい、とサンジはサングラスを少しだけ下ろして上目遣いで私を見上げる。体を屈めているせいで半分以上開いたシャツから肌色が見え、分厚い胸板が私の視界を埋める。
「そんな顔してちゃ騙されちまうよ、ここには悪い大人が大勢いそうだから」
「あなたもそのリストに入っているわよ、悪い海賊さん」
「おれかい?おれは君に騙されてェからナシ」
私の巻き髪に指を通すサンジ、そのまま耳に髪を掛けるとサンジは私の耳元に顔を寄せてこう言った。
「おれも目のやり場に困ってたんだ、素敵なレディ」