短編2
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照り付ける日差しに目を細め、うんざりした様子で砂浜を歩くサンジ。白い砂の上に付いたビーチサンダルの足跡は穏やかな波に攫われて、ゆっくりと消えていく。暑さには慣れている自信があるサンジだったが、この灼熱の太陽と島本来の暑さから珍しく水着の女性に目もくれずにひとり涼める場所を探していた。だが、何処もかしこも人に溢れていて休めそうな場所が見当たらない。片手に握られたペットボトルの水はあと数センチの命、海パンの上に羽織ったパーカーのポケットを探ってみるが財布は残念ながら船に置いて来てしまったようだ。はぁ、と辛気臭い溜め息を溢しながら今来た道を戻るサンジに二人の若い女が話し掛ける。
「お兄さん一人?」
「暇なら私達と遊びましょうよ」
美貌とスタイル、どちらも文句のつけようがない程の上玉だ。以前のサンジだったら鼻の下を伸ばして砂浜にボタボタと鼻血を溢していた事だろう。
「誘いは嬉しいけど、ごめんね」
違うのは今のサンジには唯一が存在している事だ、ナンパする気も起きなければ他のレディに視線を向ける事も減った。彼女達はきっと断られた経験なんて無いのだろう、サンジの優しい拒絶に不思議そうな顔をする。何で、とでも言いたげな視線にサンジは彼女達のプライドを傷付けないように次の言葉を探す。
その時だった、サンジの右腕にギュッと見慣れた彼女がしがみついて来た。そして、普段のふんわりとした雰囲気を殺して彼女達に鋭い視線を向ける。
「このお兄さんは私と遊ぶので!」
そう言ってサンジの腕を引っ張り、ズカズカと先を歩く彼女。彼女の足跡を踏むようにしてサンジもその後を追う。だが、その顔には焦りではなくニンマリとした笑みが浮かんでいる。
「君が遊んでくれるの?」
「この島に来たのはバカンスじゃないのよ」
「なら、これが終わったらさ、一杯どう?」
先程、可愛らしく嫉妬していた彼女はどこに行ったのか、返ってくる言葉は矢のように鋭い。そして反論なんて出来そうに無い正論が飛んでくる。
「なぁに、ナンパ?」
サンジは長い足で彼女との距離を縮める、そして彼女の肩に腕を回すと耳元に顔を近付ける。
「恋人としてのお誘い」
「……なら、いい」
自身に身を寄せてくる彼女の肩を抱くサンジ。先程までの気怠い暑さなんて無かったかのように彼女との距離を埋める。暑い、という言葉とは裏腹に彼女の手はサンジの腰に回っていた。