短編2
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自身と同じ容姿をした異国の人間にサンジは舌打ちを一つ溢す、先程からずっと画面を睨んでは舌打ちを繰り返すサンジに私は呆れた溜息をつく。座り心地のいいスエード生地のソファに座り、長い脚を組むサンジの姿はそれはもう絵になる。その不機嫌な様子を除けば、四六時中見ていたいと思えるものだ。そのせいで画面の中で演技をするサンジに似た異国人に集中する事が出来ない、私は見慣れた男の不機嫌な表情を観察するだけの時間を先程から繰り返している。
「……何でそんな不機嫌なの」
拗ねたような声が自身の口から溢れる、せっかく一緒にいるのにそんな顔ばかりされては悲しくなる。
「……本物はおれなのに」
「世界中のレディの声援を独り占め出来なくて悲しい?」
サンジはアヒルのように口を尖らして、こちらをジトっと見つめて不満を垂らしてくる。
「……おれは君の声援だけでいいのに」
「ん?」
「君の愛情がおれ以外に向くのが嫌だ」
こんな野郎じゃなくておれだけに向けて、とサンジは私の両手をぎゅっと握り、先程よりも自信の無い表情で私の顔をチラチラと見てくる。目付きの悪い三白眼からは鋭さが抜けて、水の膜が張ってくる。
「確かにあっちは眉毛なんて巻いてねェし……っ、クールな感じでおれよりも魅力的に見えるかもしんねェけどさ、おれは君の一番でいてェ」
くるんと巻いた眉毛はハの字に下がってサンジの自信の無さが表れている、サンジの喜怒哀楽に合わせて派手に動くその不思議な眉毛すら私にとったら可愛らしいだけだ。
「サンジが好きよ」
「何番目?」
「ふふ、面倒臭い彼女みたい」
「おれは面倒臭ェ女々しい彼氏サマなんで」
開き直らないの、とその高い鼻を指で摘めばサンジはクールとは正反対の可愛らしい膨れっ面を披露してまた嫉妬と愛情をごちゃまぜにした文句を口にするのだった。