短編2
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「男の人からしたら迷惑じゃないの」
会っても、そういう事出来ないし、そう言って自身の靴の爪先に視線を落とす。今だって子宮の痛みは止まずに鈍い痛みが訴えかけるように腹の中をノックしている。それでも、私は聞かずにはいられない。
「君は今までどんなクソ野郎と付き合って来たんだい?」
サンジの疑問は直ぐに解決される事になる。
「心配は二の次で行為が出来ない事を残念がる人。あとは何の責任も取る気がないくせに軽々しく止めてあげようかとか言ってくる人とか、あとは、」
「はぁ……クソ中のクソだ、そんなのは男とは言えねェな」
おれはそんな野郎と同等になるつもりはねェよ、とサンジは呆れたように笑う。私の男運の無さに呆れてしまったのか、男達の情けなさに呆れたのか、どちらかは分からないがサンジの顔は渋いままだ。
「ちょっと失礼するよ」
そう言ってサンジは私の背中と膝裏に腕を差し込み、お姫様抱っこの形を取る。ふわりと浮いた体はサンジの腕の中に収まり、軽々とベッドに運ばれてしまう。
「おれはさ、君の魅力的な体だって勿論愛してるけど」
それ以上に君が大切なんだよ、とサンジは私をベッドに寝かせ、自身の額を私の額に当てた。近くで見るその碧に嘘偽りはない、そこにあるのは確かな真実とサンジの深い愛情だけだ。
「だから勘違いしねェで」
「……ん、ごめんなさい」
「悪ィのは君にそんな勘違いをさせた野郎だ、君は悪くねェよ」
月経の度に心は不安定になる、そして誰かの優しさが欲しくなる。だが、今までは欲しい相手から貰える事は無かった。
「サンジ……」
「それに愛し方はね、沢山あるんだ。セックスだけじゃねェ、こうやって名前を呼び合う事も手が触れ合う事もおれにとっては全部、ナマエちゃんに愛を伝える手段だよ」
サンジの細長い指が私の指を捕まえる、ピースを埋めるように絡まった右手はサンジの大きな手に隠れてしまっている。手だけでも十分な体格差が見て分かる、今の私を力づくでシーツの上に組み引く事だって可能な筈なのにサンジは手を握り、痛む体に布団を掛けてくる始末だ。
「だから、愛させてよ」
もう十分に愛されてる、と涙声で伝えればサンジは目を丸くして次の瞬間に花が咲くように笑った。
「おれが足りないんだ」
「サンジが……?」
「君への愛は日々更新制だから伝えたりねェの」
そう言ってサンジは繋いでいた私の手に口付けた、鈍い痛みはいつの間にか五月蝿い自身の心臓にも移転していたようだ。愛しいと訴えかけるように痛んだ心臓は月のものが去っても、私を悩ませるのだろう。