短編2
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コックであるサンジくんはGWとは無縁だ、世の中が休みになればなるほどサンジくんの仕事は忙しくなる。だが、今年のGWは元オーナーであるゼフさんの気遣いで二日間の休みを貰えたのだ。
「……隠居ジジイの鶴の一声ってやつか」
休みを貰った本人はそう言っているがきっと照れ隠しなのだろう。ゼフさんの話をするサンジくんは少しだけ素直じゃない、普段の落ち着き払ったサンジくんとは別人のようで微笑ましい。
「ま、二日間、君といられるのは最高だけどね」
頬杖をついたまま片手をこちらに伸ばしてくるサンジくん、その手は私の頭の上に置かれて優しい手付きで頭を撫でてくる。
「行きたい所はあるかい?車出すよ」
「んー、お家でゆっくりしたいかな」
SNSでは連日友人達が、どこに行った、何を食べた、と写真を載せているがその波に乗る気はない。
「おれに気を使ってるなら気にしなくていいよ?」
「久々の休日だし普段から忙しくしているサンジくんにゆっくり過ごして欲しいって気持ちも無いわけじゃないわ」
「なら、」
「でも、二人っきりで過ごしたい気持ちも嘘じゃないわ」
そう言って正面に座るサンジくんに笑い掛ければ、隠れていない片目がぱっちりと開いて私を見る。
「そんなに驚く事かしら」
「君の尊さに驚いてた」
「大袈裟ね」
大袈裟なもんか、とサンジくんは目尻を柔らかく下げる。そんな顔ばかりしているせいかサンジくんの目元には薄く皺が確認出来るようになった。以前、皺を指摘した際にサンジくんは自身の目元をチャーミングに指差してこう口にした。幸せだからだよ、と。
可愛いプリンセスの仰せのままに、そう言ってサンジくんは私の願い通りに二日間を家で過ごした。そして、私はその殆どの時間をサンジくんの膝の上かサンジくんの腕の中で過ごす事となった。
「私がいたらゆっくり出来ないんじゃない?」
「今、してるよ」
「……したい事とか」
「君で充電してる」
サンジくんは私の首筋に口付けながら、ちゅっ、ちゅっ、とわざとリップ音を鳴らす。くすぐったさに身を捩れば、お腹に回されたサンジくんの腕が私の抵抗を拒むようにぎゅっと抱き寄せてくる。
「二日間たっぷり君で充電させて」
語尾にハートマークが浮かんでいるように聞こえるのはきっと聞き間違いではない、サンジくんが言う充電はこんな甘い触れ合いだけではないのだ。今、後ろを振り返ったら欲に塗れた瞳と目が合い、獣が首筋に牙を立てるのだろう。