短編2
name
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
そういう関係になって三ヶ月、手を繋いだ回数は数回だけだ。それだって手を繋ぐのが目的ではなく、高い所から降りようとした私に手を貸してくれたり酔った私の危ない足取りを心配しての行動だった。いわば、補助だ。今更、サンジの愛情を疑っているわけではないが少しばかり清すぎる気がするのだ。
「はぁ……」
世間の恋人はどうやって関係を進めているのだろうか、最近はそればかりが頭を過ぎる。ナミやロビンに相談すればサンジの名誉が傷付いてしまいそうで悩みを誰かに打ち明ける事すら出来ずにいる。サンジの極端に減った口数の少なさも私の不安を煽るのには十分だった、付き合う以前のサンジは私への矢印が丸出しで誰が見ても私に恋をしているのは一目瞭然だった。だが、今は分かりにくい愛情をその少ない会話から見つけるのが私の仕事になりつつある。以前よりもサンジの気持ちを読み取れなくなった気でいたが私はきっと最初からサンジの事を分かっていなかったのだ、今まではサンジが分かりやすく意思表示をしていてくれたのだろう。
「デート中に溜め息かい」
「……あ、えっと」
思わず隣を見上げれば珍しく煙草を咥えていないサンジが特徴的な眉毛を下げてこちらを見ていた。怒らせたわけではなく、心配させてしまったのだろう。ここで何でもないと笑ってみてもサンジには笑顔の裏を読まれてしまう気がした。
「手」
「手?」
「……繋いでもいいですか」
「いいですよ」
私の不自然な敬語に合わせるようにサンジも畏まった返事を返してくる。口元に浮かんだ控えめな笑みに私は胸をホッと撫で下ろし、サンジの手を握った。
「手ぐらい好きに繋げばいいのに」
余裕な表情を浮かべたサンジはそう言って私の指に自身の指を絡める。そんな素っ気ない返事とは裏腹に絡んだ指先は熱を持っていた。
「……君は意地悪だ」
耐え切れずにくすりと肩を揺らす私にサンジは不満げな声を上げる。自身と繋がれた手は汗ばんでいて、意地悪だと私を責めるサンジの耳は日に照らされたように赤い。肌が白いから余計にそう感じるのか、赤が異様に際立つ。
「ねぇ、ちゅーしていいですか?」
余裕ぶった「いいですよ」を期待したのにサンジは私の予想を裏切り、自身の長い脚に自身の長い片脚を絡めて引っくり返った。道連れになる前に手は離れてしまい、サンジ一人が床に崩れ落ちた。
「な、エッ、ちゅーってちゅー?」
「キス」
着火するように顔を赤くしたサンジは両手で自身の顔を覆うと弱々しい声で、婚前交渉はだめだよ、と口にする。
「ふふ、貰ってくれるの?」
どうやら、私の彼氏は本命に対しては奥手でヘタレでどうしようもなく重い男だったらしい。