短編2
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サンジの大事な手を包む黒革のグローブ、戦闘時によく見るようになったグローブは良い言い方をするならばセクシーだ。そして、逆に悪い言い方をするならば厭らしい。指にピッチリと張り付く革はサンジの指の長さを強調していて、その指が煙草を挟む度に色気に当てられそうになる。そのせいか、最近はサンジの手を見るだけで心が落ち着きを無くし、挙動不審な態度を取ってしまう事が増えた。原因であるサンジはグローブを付けたままの手で私の頭をくしゃりと撫で、肩を小さく揺らした。
「変なナマエちゃん」
挙動不審の理由に気付いてくれるなと願いながら私は曖昧に笑い、その場をどうにか乗り切った。
戦闘で疲れた体を休める為に今、私達は島のホテルに滞在している。二人部屋と言う割に十分に広いこの部屋は助けた礼という事だろう、スイートとまではいかないが一つ下のランクといった所だ。キングサイズのベッドに横になりながらサンジのシャワーが終わるのを待つ、白いシーツの上にはサンジが外して行った黒革のグローブが二つ綺麗に重なって置かれている。きっと、部屋に着いて直ぐに外したのだろう。自身の手をその上に重ねれば男女の差と言うべきか中々の違いだった、私は戦闘後というのもあってか少しだけ気分が高揚していた。普段だったら人の私物にむやみに触れたりはしない、だが、この時は違った。
「わぁ」
黒革のグローブに自身の右手を入れてみれば、ブカブカと指の部分が余る。おぉ、と男女の差に感動しながら天井からぶら下がったシャンデリアに右手をかざしてみる。不格好なグローブ姿の自身の手を見つめながら私はサンジの手を思い出す。
「……好きだなぁ」
グローブを付けたまま、自身の頬に触れる。そうすれば、サンジに触られているような気分になる。
「君はグローブで触られるのが好きなのかい?」
突然の持ち主の声に驚いた私は大袈裟に肩を跳ねさせる、そんな私にクスッと笑みをこぼしたサンジはバスローブ姿でこちらにやってくる。濡れた髪を掻き上げたサンジはベッドに近付き、私の右手を手に取る。
「へ」
そして、指が余ってしまっている人差し指に歯を立てる。熱の籠った瞳が私の反応を楽しむように細められ、グローブはサンジによって抜き取られた。
「それとも、おれに触られるのが好き?」
「……っ」
サンジの細くて長い指先がバスローブの紐に悪戯に絡み付く。ちょっと、とその手を払い落とそうとした筈が気付いた時には視界はサンジと天井に埋まっていた。
「こっちに聞いてみようか」
「……こっちって、」
サンジはバスローブの紐に手を掛け、ニヤリと笑うとグローブを装着する。素肌に触れる革の感触にビクっと体を揺らす私にサンジはこう口にするのだった。素直な君の体に、と。