短編2
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先日、仲間入りしたばかりの心優しい青鼻のトナカイからの視線がここ数日気になって仕方ない。背中にビシビシと感じる視線を無視する事も出来ずに私はチョッパーと目線を合わせる為にしゃがみこもうとした。だが、チョッパーは慌てて私の体を支えると医者の顔をして必死に言葉を重ねる。
「足に負担が掛かるだろ!」
「あし?」
「……だって、お前足が良くないんだろ?」
自身の事なのに初耳だ、医者の目から見たら私の足はどこかおかしいのだろうか。足首は普段通りに回す事が出来るし、歩く事だって何の苦でも無い。
「何でそう思ったの?」
チョッパーは私の後ろに立っているサンジにチラッと視線を送り、いつもサンジが支えてるから、と口にした。自身の名前を出されると思っていなかったのか、サンジは自身の顔を指差し困惑している。
「チョッパー、心配してくれてありがとう。でも、私の足は何とも無いのよ」
「なら何で二人はいつも手を繋いだり、サンジは腰を支えたりしてるんだ?」
身に覚えがあり過ぎる自身達の行動につい顔を赤くする。怪我なんてものは初めから無く、その行動はただ恋人同士の触れ合いだ。
「あー、チョッパーあれは逆だ」
赤くなり何も言えなくなってしまった私の肩にサンジの手がポンと乗せられる。
「逆?」
「おれが彼女に手を繋いでもらわないと歩けねェの」
「サンジは一人で歩けるだろ」
チョッパーの正論にサンジは余裕の笑みを浮かべてシーッと顔の前に人差し指を立てた。
「チョッパー」
私の両耳に蓋をするようにサンジは二つの手で私の耳を塞ぐ、聞こえるぐらいに手はわざと浮かされている。
「それは内緒にしててくんねェかな」
ナマエちゃんが手を繋いでくれなくなったら、おれは歩けなくなっちまう、とサンジは甘い声色で嘘を並べる。
「(……何が内緒よ、聞かせる気満々じゃない)」
素直なチョッパーはサンジの嘘にコクコクと何度も頷き、馬鹿な嘘に涙まで浮かべ始めた。絶対に内緒にする、と自身の口元を押さえるチョッパーの健気さに涙が出そうだ。
「男同士の秘密だ」
サンジの手はピンク色の帽子ごとチョッパーの頭を優しく撫でる、そして反対の手は私の無防備に下がった左手を掴む。
「……嘘ばっかり」
「君に触れられねェとおれの足も心臓も止まっちまうから嘘じゃねェよ、レディ」
内緒話をするように耳元で打ち明けられたサンジの甘い嘘、それを否定するよりも先に私の口からは不器用な「ばか」が飛び出した。