短編2
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仰向けでベッドに倒れるサンジの体に自身の体を重ねて、そのふわふわな胸筋に頭を預ける。恋人を枕代わりにしているというのにサンジは私を怒りもせず、寝かし付けるように優しく頭を撫でてくれる。とろんと重くなってきた瞼にグッと力を入れて、夜を長引かせようとする私の頭上で小さな笑い声が響いた。
「今日は随分と粘るね」
「だって、久しぶりだもの」
こうやって二人の時間を取るのは久しぶりだった、サンジは朝から夜まで料理に洗濯と母親のように船の上を何往復としていて中々捕まらないのだ。強制されているわけではなく、サンジという人間は止まったら死ぬ魚と一緒だ。何かしていないと落ち着かない、と本人も困った顔をして肩を竦めていた。
「おれが足りなくなっちゃった?」
「ぜーんぜん足りてないけど」
寝返りを打つように体勢を変え、サンジと向かい合うようにうつ伏せになる。そうすれば、サンジの長い腕がぎゅっと私の体を抱き締めた。
「そっか、そっか、おれ不足かァ」
だらしない表情に鼻歌を歌っているような弾んだ声。そこまでは言ってない、とその緩んだ頬を引っ張って否定すれば肉の薄い頬が直ぐに指から離れた。
「おれはゴムじゃねェから伸びねェよ」
ま、伸びるのはこの腕ぐらいかな、と戯けたように笑うサンジは私を抱き締めたままゴロンとベッドに寝転んだ。
「君にだけね」
「サンジも足りなかった?」
「ぜーんぜん足りてねェよ」
先程の私を真似するようにサンジはそう口にするとナマエちゃんの補給だと言い、唇同士をくっつける。
「子供のキスみたい」
「っ、くく、だって、最初から激しくしちゃ君の身が持たねェだろ?」
久しぶりだからゆっくりと慣らさなきゃ、と唇同士をくっつけるだけのくすぐったい時間が続く。目を閉じるのがマナーだと普段は言うくせに今のサンジはキスで溶けていく私を観察するようにマナー違反をしてキスの難易度をゆっくりと上げていく。キスの激しさと並行して行われる愛撫に私は体をくねらせる。
「なぁ、ナマエちゃん」
とろんとした瞳でサンジを見つめれば、サンジが耳に顔を近付ける。耳にするりと入ってくる低音はサンジの武器であり、私の弱点でもある。まるで鼓膜を愛撫されているような感覚になり、私はついサンジの顔を押し返してしまう。
「今日はおれでいっぱいになってくれねェと嫌だよ」
切ない声を上げ、私の手首を掴むと手のひらに舌を這わすサンジ。長いサンジの舌が指に絡むように這っていく、するりと移動する舌はまるで生き物のように見える。
「……変なスイッチ入れちゃった?」
「入ってた所に君が飛び込んで来ただけだよ」
「あら、私のせい?」
君はさっきまで狼の上で寝てたんだよ、と私の小指を甘噛みしながらサンジは特大のネタバラシをする。どうやら、私の危機管理能力はこの数日で随分と鈍ったみたいだ。ガオーというサンジの巫山戯た合図と同時に私はベッドに組み敷かれるのだった。