短編
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視界に入る距離でわざとらしくポッキーを咥えているサンジ、ポッキーゲームがしたいですと言わんばかりのニヤケ面。もっと、普通に誘ってくれれば私だってポッキーゲームぐらい許すのにサンジはチラチラと視線を寄こしてはポッキーを消費していく、そんな勢いではゲームをする前に無くなってしまいそうだ。私はサンジに気付かないフリをして、パラパラと本のページを捲る、景色が随分と賑やかで本の内容は何一つ入ってこない。
餌を求めて、キャンキャンと自身の周りを駆け回る様子が犬のようだ。なりふり構わずといったアピールに私はつい笑ってしまい、気付かないフリはもう出来そうにない。
「……もしかして、いじわるしてた?」
「アピールするサンジが可愛かったから」
サンジの手に握られた小袋の中からポッキーを一本取り出して、その尖った口に押し付ける。サンジは私の意図に気付いたのか、すぐにポッキーを口に咥えて浮かれた表情で私を見る。
「これがしたかったんでしょ」
顎に手を添えて、サンジが咥えているポッキーの端を自身の口に入れる。ポリポリと音を立ててチョコレート部分が口の中に消えていく、サンジとの距離はもうほぼ無い。そのタイミングで私はポキッと悪戯にポッキーを噛み砕く、正面にいるサンジは未だこの状況が分かっていないのかキョトンとした表情で私を見る。
「キスされると思った?」
サンジは垂れ下がった前髪をくしゃりと乱して悪態をつく。
「ふふ、残念」
小さく舌を出した私の手を自身の方に引き寄せてサンジはその唇を無理矢理奪う、普段より随分と荒々しいキスだ。
「やられっぱなしは性に合わねェの、ご馳走さん」
「なっ……!もう!」
先程のお返しだと言わんばかりにサンジは、べーっと舌を出した。私の振りかぶる手を器用に避けながらサンジは満足げにポッキーを齧るのだった。