短編
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※吸血鬼パロ
白い肌を晒して、事後の雰囲気を匂わせたままベッドに倒れるサンジ。見た目以上に逞しいその腕に頭を乗せて、猫のように擦り寄る。サンジは喉を鳴らして、笑みをこぼすと私の頭をくしゃりと空いた手で撫でる。それが何だか気持ち良くて、にゃー、とふざけた声を出せば、何かを噛み締めるようにくしゃりと顔に皺を寄せるサンジ。
「なぁに、不細工な顔して」
「ひでェ」
君の可愛さにメロメロしてただけなのに、とサンジは口を尖らして私の首筋に顔を埋める。
「擽ったい」
「我慢して」
そう言ってサンジは私の鎖骨に舌を這わせた、汗をかいたばかりの肌を舐められるのは少しだけ照れ臭い。だが、サンジの体質を思えば、どうぞ、と体を差し出す以外の方法は考えられない。
サンジは人間ではない、吸血鬼だ。最初に聞かされた時は現実離れした内容に顔を顰めてしまった。
「私をおちょくってるの」
頭から否定する私にサンジは悲しそうな表情で笑った、信じられねェよな、と諦めが滲んだような声を出して、私に背を向ける。
「っ、信じるから!証拠を出しなさい!」
つい、怒鳴るような声を出してしまった私にサンジはびくりと肩を揺らして、本当に信じてくれるの、と泣きそうな顔で私の様子をチラチラと伺う。
「……サンジは嘘が下手だもの」
「おれは君に嘘はつかねェよ」
そう言って、サンジは証拠という名の生い立ちを語り出す。嘘や作り話にしては出来過ぎた生い立ちに私は口を挟む事すら出来ずに静かに頷いた。吸血をする為の殺生に対して何の戸惑いもない兄弟の話、出来損ないの自身の話、血を吸う事すら出来ずにほぼ人間に堕ちてしまっている身体、サンジは一つ、一つ丁寧に教えてくれた。
「……血を吸えないなら今までどうしてたの」
「体液、とか」
サンジは途端にもじもじと落ち着きを無くし、そしてガバっと勢い良く体を折り畳む。まるで土下座だ。
「ナマエちゃんの体液をいただいていました」
すみません、と床に頭を擦り付けるサンジ。
「ナマエちゃんを食べてェ、ってそういう事?」
「エッ、あの、両方の意味デス……」
「私って美味しい?」
サンジの膝に手を乗せて、グイグイと質問攻めを繰り返す私。鼻同士が触れてしまうような距離まで顔を近付けて、サンジの唇に噛み付いた。上唇と下唇の隙間に唾液を流し込んで、サンジの男らしく出っ張った喉仏を撫でる。そうすれば、ゴクリと派手に喉を鳴らしてサンジは驚いたように目を丸くする。
「美味しい?」
「クソ甘ェ」
「人によって味って違う?」
「全然違ェよ、君の体液はおれにとっちゃ極上だ」
サンジは熟れた赤い舌をちろりと覗かせて、自身の唇をぺろりと舐める。
「スケベな顔してる」
「おれも男の子だから」
スケベな事が好きなんだよ、とサンジは離れたばかりの私の唇に再度キスをした。
「一緒に食事でも」
「ふふ、なにそれ」
「誘い文句」
その後はベッドの上でサンジのお腹を満たすように体を重ねた、他の吸血鬼よりもサンジの方がえげつないのではと勘違いしそうになるほどに愛し合った体はもうベッドに沈む以外、出来そうにない。チラリと見たサンジの顔には鋭い牙が覗く、体液を十分に摂取したからだろうか、先程は無かったのに不思議なものだ。
暴露され、ドロドロでベッドに沈んだ日から片手分は歳を重ねたがサンジの見た目はあの頃と変わらない。二十歳前後のまま、憎たらしい程の白肌を艶々にして私の体液を啜る。一度だけ、血を舐めさせてみた事もあるが血を拒絶するようにサンジは与えた血を吐いた。吸血鬼の紛い物、と自嘲しながら青い顔をしたサンジの背中を撫でながら泣いた日もある。吸血鬼にも人間にもなりきれない憐れなバケモノがひとりぼっちにならないように私は体を差し出す。新鮮なうちに召し上がれ、と。