短編
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君からの愛してるがないと頑張れない、そう言ってサンジは私の膝にごろんと寝転がる。キッチリと締められたネクタイは外され、今はセクシーな鎖骨が丸見えだ。だが、そこに色っぽい雰囲気はなく、ただ、お疲れのサンジが私のお腹に顔を向けてグリグリと頭を押し付けている。
ワノ国に滞在していた時は確かに二人っきりになる時間も取れずに愛を交わすなんてこと出来る状態では無かった、そして、その前はサンジ自身が大変な事になっていた。
「愛してる」
「もっと」
欲張りね、そう言って私が笑えば、サンジは先程と同じようにお腹に顔を埋めたまま、こう答えた。
「あぁ、欲張りに生きる事にしたんだよ」
「良い心掛けだわ」
海賊なんだから我儘放題に生きたらいい、人の顔色も人の都合も知らん振りで欲しい物に手を伸ばせばいいのだ。
「愛してる、サンジだけよ」
弾んだように、求めるように、次は切なげに、何度も繰り返される愛してるにサンジは「うん」と柔らかな返事を返すだけだ。
「あなたを愛している」
こぼれ落ちた愛の言葉をなぞるようにサンジの指が私の唇をゆっくりとなぞる。
「君の言葉を全部持っていけたらいいのに、そしたらいつでも君の声を聞いていられる」
「嫌よ」
「ナマエちゃん、もうちょい悩んでくんねェかなァ」
えん、えん、と泣き真似をするサンジの頭をゆっくりと穏やかな手つきで撫でる。
「あなたの顔を見て伝えたいわ」
目と目が合う距離で伸ばした腕が届く距離で愛を交わしたいのだ、私の特大の愛の前でなす術もなくメロメロに溶けてしまうサンジの顔を見ながら私は伝えたい。
「っ……君はおれをどうしたいんだい」
真っ赤な顔を両手で覆って、指の隙間からチラチラと様子を伺うサンジ。私は長い髪を耳に掛けると、サンジの手を退かす。そして顔を近付けて、男にしては少しだけ厚いサンジの唇に自身の唇を押し付けた。
「こうかしら?」
愛情表現はきっと言葉だけじゃない、目と目なんかまるで合わない距離で静かに無事を祈るのも、伸ばした腕を振り払って相手を守りたいと思うのもきっと愛なのだ。
「熱烈な愛情表現だね、レディ」
「私も欲張りって事よ」
だから、下手な甘え方なんてしなくていいの、とサンジの下手な演技に触れる。
「あちゃあ、バレちまった?」
「最初からバレバレ」
「っ、くく、でも付き合ってくれるんだね」
私の答えはもう決まっている。愛してるから付き合うのだ、愛の戯れに。