短編
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先程から彼女の小さな鼻がクンクンとサンジのシャツに押し付けられている、サンジの太腿に跨って、キャミソールからこぼれ落ちそうな胸をサンジの体に押し付けて、彼女はサンジの匂いを執拗に嗅いでいる。サンジは彼女の胸の谷間から目を逸らして、煩悩を捨てようと天井の木目を数える。一、ニ、と数を数えても視界の端では可愛らしい恋人が忙しなく動いている為、サンジは煩悩を捨て切れずにチラチラと彼女の方を見てしまう。
それと同時にサンジは少しだけ不安になる、こんなに執拗に嗅がれるという事は自身が臭いという事だろうか、風呂にはまだ入っていないが、そこまでの悪臭を撒き散らしているだろうか、とサンジは顔色を悪くする。
「……おれ、もしかして臭ェかな?」
彼女はサンジの突然の言葉に目を丸くすると、首を左右にぶんぶんと振る。
「いいえ、いい匂いよ?」
ふんわりと笑って、彼女はサンジのシャツに顔をダイブさせる。んー、と間延びした満足げな声を上げながら彼女は甘えるように頭を擦り付ける。サンジは無理に彼女を剥がそうとはせず、優しく頭を撫でながら、旋毛にキスをした。
「なら、甘えたかった?」
「ナミがね、言ってたの」
「ナミさん?」
彼女はサンジのシャツから顔を上げて、機嫌良く話し出す。
「私からサンジの匂いがする、って」
きっと、サンジの匂いというのは煙草の匂いだ。最初は彼女に遠慮して二人の時はなるべく吸わないようにしていたサンジに向かって彼女はこう言った。セクシーなのに勿体無いわ、と。熱が篭った瞳で考え直して、と説得されてしまえば彼女に激甘のサンジは従うに決まっている。
「あー、悪ィ。君の服にも煙草の匂いが移っちまってるよな、女の子がヤニ臭ェなんて嫌だよね」
ごめんね、とサンジは彼女に申し訳なさそうな顔をするが彼女の反応はどうやら違うようだ。
「マーキングされてるみたいで嬉しかったの」
彼女はぎゅっとサンジに抱き着くと、サンジのものってバレちゃうわね、と悪戯っぽく舌を出す。それに対して、サンジは片手で顔を覆って、あー、と情けない声をあげた。
「かっわいいなァ、もう、本当ずりィよ、可愛さがずりィ……おれからのマーキング嬉しいの?」
「ふふ、嬉しい」
「そんなこと言われたら全身くまなくマーキングしちまうけど」
サンジはそう言って彼女の首筋に顔を埋めた、金髪が肌に触れて少しだけむず痒い。だが、彼女は満足そうにサンジからの愛撫という名のキスを受け取る。
「おれにもマーキングして、レディ」
おれを君のものにしてくれ、とサンジは彼女の額に自身の額をコツンと合わせてふにゃりと笑った。サンジのシャツからは煙草の匂い、そして、彼女の香水の香りがふんわりと香っていたのだった。