短編
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二年離れて変わった事はサンジのスマートさだ、二年前だったら私がナンパにあっている現場に居合わせたらサンジは番犬のように目を吊り上げて相手の男性に掴み掛かる勢いで牙を剥いていた。ガルルル、とメンチを切るサンジの圧に相手の男性は押されて結局、尻尾を巻いて逃げ出すのだ。遠ざかる背中に視線を向けて今回は上玉だったのに、とわざと悔しがって見せる私にサンジは涙目でこう訴える。
「君にはおれって彼氏がちゃんといるでしょ……!」
「サンジだって可愛い子に目が無いでしょ?」
女の子だって同じよ、とその情けない顔を指で突けば絵に描いたように慌て出すサンジ。そんな遊び甲斐のあるサンジが愛おしくて、ついそんな嘘をつく。
「悪ィね、この子はおれの大事な人なんだ」
オニーサンが声を掛けたくなる気持ちはよく分かるけどね、穏やかな口調でサンジは相手の男性にそう声を掛ける。以前のように噛み付きもしなければ、睨み付けるような真似もせずにスマートな対応をするサンジに私は目を見開く。
「だから、この子は駄目」
自然な仕草で私を背中に隠すサンジは甘い声でそう言った、圧を掛けているわけではないのに相手に理解させるのには十分な声だ。相手の男性は余裕の表情を浮かべたサンジに一つ溜息をこぼすと片手を上げ、その場を去って行った。
「あぁ、上玉だったのに」
動揺を隠して、以前と同じ台詞を吐く私。
「君に見合う男はきっとおれぐらいだよ」
「……いつの間にそんな自信家になったの」
「はは、君に随分としごかれたからね」
原石が磨かれたら宝石になるって言うだろ、そう言ってサンジはサファイアのような瞳に私を映す。陽の光が当たった金髪もその碧眼もキラキラと光り、もう原石とは呼べないだろう。
「女は良い男に目が無いんだろ?あとは宝石」
「後者はナミだけよ」
「前者は当たりかい?」
「可愛くないわ」
「可愛いのは君で十分だよ」
なァ、レディ、と余裕の笑みを浮かべたまま、サンジは私の手を取り歩き出す。スマートなエスコートにまた私は目を吊り上げて可愛くないと頬を膨らますのだった。