短編
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狼の前に差し出された子兎のようにプルプルと小刻みに体を震わすサンジ、両手で顔を覆って耳朶までを真っ赤にしたサンジの格好は暴漢にでも襲われたかのように乱れている。ジャケットは皺くちゃで床に捨てられて、シャツはボタンが数個外れて肩が出てしまっている。きめ細やかな白肌には暴漢に襲われた傷ではなく可愛らしい恋人に愛された赤く小さな痕がそこら中に散らばっている。情熱的に愛された体を晒してサンジは自身の項に触れた彼女の冷えた指先に体をピクリと震わす、口から漏れ出た声はまるで女のようで、つい口元を手で塞ぐ。
「ふふ、がるちゅー」
ガルチュー、その言葉と一緒に項に触れた弾力は頬の柔らかさなどではなく、彼女の唇だ。何度も何度も、唇が触れて、優しく肌を吸って、虫刺されのような痕を残す。
サンジは自身の肩にチラリと視線をやり、ポッと頬を赤らめる。普段、奥手で慎ましい彼女が酒のせいとは言え、自身に夢中になっているのだから嬉しくないわけがない。明日になったら今日の反動で避けられてしまいそうだが、この体中に散らされた花弁のような痕が消えるまでは己は彼女のモノだと周囲に知らしめる事が出来るのだ。サンジは邪魔になったシャツを脱ぎ捨てると彼女の方に体を向けて、まだ余白があるよ、と自身の白肌に大きな手を這わす。普段だったらスパッと切れ味よく一刀両断されてしまう誘いに彼女は疑う事すらせずに、鼻歌混じりにサンジの白肌に唇を押し付ける。
彼女のヨレた口紅を自身の唇で拭うサンジ、甘ェな、と自身の唇に移った紅(あか)をペロリと一舐めする。
「今日のサンジえっちだ」
「フッ、君にエッチにされたんだよ」
「嘘つき」
酷ェの、そう言ってサンジは彼女の頭についたうさ耳のカチューシャに触れる。ゆらゆらと揺れる酔っ払いにあわせて左右に行ったり来たりしているうさ耳を外すと、彼女自身の耳に手を移動する。他人よりも気持ち程度にツンと尖った耳に息を吹き掛ければ甘い声が漏れる、抵抗もせずにサンジの手に頬を擦り寄せて何も知らない幼子のような瞳でサンジの片目を覗く。
「っ、くく、同じ事しても文句は言えねェよな?」
なァ、バニーちゃん、とサンジは彼女の肩に唇を押し付けた。金髪が彼女の首筋を撫でる、酒で敏感になった体は少しの刺激すら拾って大袈裟に体が跳ねてしまう。
「本当にウサギみてェだね」
サンジは喉を鳴らして笑うと自身の装いとは真逆の隙すらない彼女の服に指を這わせて、一枚、一枚、丁寧に脱がせていく。そこでやっと危機感を覚えたのか、彼女はサンジの手から逃げようと後ろに後退る。
「恋の狩人から」
逃げる時はもっと早めにね、レディ、そう言ってサンジは彼女をソファに押し倒し、キスの引き金を引くのだった。