短編
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レディを崇拝しているサンジは女の子はお砂糖とスパイスで出来ていると本気で思っている、触ったら崩れてしまう砂糖菓子とでも思っているのか私に触れる手は酷く優しく、そしていじらしい。私の腰に腕を回してグッと自身の方に引く強引さもなければ、本能のままに貪られる事もない。要するに少しだけ物足りないのだ、意を決して際どい服装に身を包んでみても持ち前の紳士さで素早く隠されてしまう。
「君は自分の魅力を理解していない」
サンジに気付いてもらえない魅力なんて必要ないじゃない、と不貞腐れる私の表情には気付いていないのかサンジは一服と言ってキッチンから出て行った。
「……キッチンはいつから禁煙になったのかしら」
キッチンの扉を睨みつけながら、恨み言を吐く私は間違ってもお砂糖やスパイスなんて可愛らしいもので形成されていない。スパイスではなく、毒の間違いではなかろうか。
今日も今日とて、サンジの顔には私の懲りない行動への不快感が浮かんでいる。キッチンの壁とサンジの体に挟まれて身動きが取れない私はサンジに掴まれた腕を頭上に固定されながら、この状況を理解しようと口を開く。どうしてそんなに機嫌が悪いの、と。
「なんでだと思う?」
「分からないわ」
考える事を放棄するのはいけない事だ。だが、本当にここまでサンジが機嫌を損ねた理由がどれだけ頭を悩ませても私には分からないのだ。
「君は男をナメ過ぎだ、危機感を持ってって随分と言った筈だ」
あれは警告だよ、レディ、とサンジは言った。確かにサンジからそういった言葉を言われていたがサンジにしかやらないと私は話を半分ぐらい右から左に押しやっていた。
「それとも、おれだから油断した?君の優しい優しいサンジくんはこんな事しねェってか?」
手首を掴んでいる手に力が込められる、力加減を間違ったのか普段のサンジとは比べ物にならないくらい痛いし雑に感じる。
「痛いわ、サンジ」
「おれが本気で君を押さえ込んだらこうなるんだよ」
これ以上、力を入れたら君を傷付ける事だって簡単だ、とサンジは言う。普段どれだけ力加減をされていたのか今ようやく分かった気がした、これはきっとサンジなりの傷付けない愛情だった。
「……おれはさ、君の誘惑に弱ェんだ。口では紳士ぶったって結局は君をグチャグチャに犯しちまいてェって思っちまうんだよ。だけどさ、君の気持ちを置いてまで強引にやりてェわけじゃねェの」
なのに、君ときたら、そう言ってサンジは私の手首をパッと離して拘束を解除する。
「おれに強引にされてェのか下着みてェな服でキッチンに来るし、無防備に膝に乗っておっぱい押し付けてくるし理性が何個あったって足りねェ。おれを男から酷ェ獣にしねェでくれよ」
「……サンジならいい」
サンジは頭を抱えて特大の溜息を吐き出した。
「今の話、聞いてた!?レディ」
そういう所がうんたらかんたら、と長いお説教が始まりそうな予感に私は肩を竦める。失言した自覚はあるが私はサンジだったら何でも最後には許してしまう自信がある、獣のように貪られて体中にキスマークが踊ったって、翌日の私が動けなくなってしまう程の熱い夜だってサンジとだったら幸せな行為でしかないのだ。
「だって、愛してるんだもの」
それに貴方だって私をナメ過ぎだわ、そう言って私はサンジの手を引き、自身の唇をサンジの唇に押し付けた。
「ん……っ、女の子だって獣よ。Mr.」