第二章 成長
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鬼滅の刃たかはるとその祖父と3人で暮らしていたヒロインと伊之助の物語。
一応原作沿い。途中、抜けている部分があります。
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小波は家に帰って、今日の出来事をこと細かく話した。
今日は店仕舞いが遅かった事。
鬼がいた事。
鬼殺隊という人達が助けてくれた事。
貰った団子がぐちゃぐちゃになってしまった事。
夜は絶対に外を出歩かないで欲しい事。
「そんな事があったのか…。とにかく、お前が無事で良かったよ…。」
祖父もたかはるも傷1つついていない小波を見てホッと胸を撫で下ろした。
2人は、鬼の存在を知っていた。
小波の両親は鬼に殺されたのだから当然だ。
そして小波自身が、鬼による被害者だ。
しかし、自身が生まれて間もない時であったために、その記憶は無い。
自分の両親を殺した鬼を憎む気持ちは当然あった。
しかし、祖父達との幸せな日々が、小波を憎悪で焦がす事はさせなかった。
それよりも、小波の中の、先程の女性隊士への憧れが時間を追うごとに増していった。
小波は、「鬼殺隊に入りたい」などとは口が裂けても言えなかった。
それが、自分の命を危険に晒すこと、周囲の人に要らぬ心配をかけてしまうことが分かっていたからだ。
小波は、最前線で戦う隊士ではなく、戦って怪我をした隊士や一般の人の傷を癒す存在になりたかった。
しかし、そのためには強くなり、且つ医学を学ばなければならない。
小波は、家を出て医学を学びつつ、自分に剣術を教えてくれる師を探そうと決意した。
祖父達には、医学を学びたい、そのための先生を求めて少し家を出たいという事だけ告げた。
小波が医者を目指すと思い込んだ2人は、大いに喜んだ。
「さすが、小波は格好良いな!いつでもこの家に戻ってきていいんだからな!頑張れよ!」
「そうかそうか…、夢ができたか。立派じゃ。頑張るんじゃぞ。」
小波は2人に嘘を吐いているようで、後ろめたい気持ちになった。
決して、医学を学ぶ事、師を求めて旅する事は嘘ではない。
しかし、鬼殺隊入隊を目指して…という、1番大切な事を伏せている事に罪悪感を感じていた。
もちろん、裕福でないにも関わらず、尋常小学校に通わせてくれた事、今までの事全てに本当に感謝している事は事実で、また、恩返しを必ず果たしたいという信念も紛れもない事実だった。
(強くなって鬼殺隊に入ったら、絶対に恩返しに来ます…。)
そう決意して、善は急げ、今までお世話になった人達にお礼を告げ、小波はその3日後には巣立っていった。
─本当に行っちまったな。じいちゃん。
─ほっほっ。小波は大丈夫じゃよ。強い運の持ち主じゃ。
─小波、何か隠してたな。
─そうかのぉ?ほっほっ。きっと、大丈夫じゃよ。
小波のしっかりした足取りを、2人はいつまでも見送っていた。