第六章 機能回復訓練
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鬼滅の刃たかはるとその祖父と3人で暮らしていたヒロインと伊之助の物語。
一応原作沿い。途中、抜けている部分があります。
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私の足はすっかり完治し、カナヲさんとの鬼ごっこにも慣れてきた。
始めは手こずっていたが、段々と数分で捕まえられるようになった。
初めて捕まえられた時、その場にいたのは炭治郎とカナヲさんとアオイさんで、残念ながら伊之助や善逸とは喜びを分かち合うことは出来なかった。
という事で、私は炭治郎やカナヲさんと組手をして日々鍛錬をしている。
組手以外は炭治郎とは別の修行内容だ。
私は蝶屋敷の患者さんの手当等を行いながら、自身の技の精度をあげていた。
だから他の皆が何をしているのか知らない。
同じ屋根の下にいるにも関わらず、起床後から皆バラバラに行動していた。
「小波!!起きろ!おいっ!」
ある日の朝、私は伊之助に叩き起された。
「……」
何とか起き上がって顔を洗った。
炭治郎はとっくに起きて修行している。
私が起きる頃にはいつも布団が綺麗に畳まれている。
「おはよー、小波。」
「…ん、はよ。」
善逸も起きていて、準備万端な様子だ。
…あれ、一番の寝坊助って私?
「行くぜ…!」
寝起きの悪い私は、ボーッとした頭で寝癖を弄りながら、何故起こされたのか考えていた。
そして伊之助に引き摺られるようにどこかへ連れられていく。
善逸も目を擦りながら後から着いてくる。
小脇に抱えられ、伊之助の温かさでまた眠りに落ちそうだった。
「…どこ行くの?」
到着したのは炭治郎が修行していた道場だ。
さすがに私も頭が冴えてきた。
伊之助と善逸は、炭治郎に教えを乞うために来たのだ。
きっと私を連れてきたのはついでだろう。
私も、カナヲさんに勝つコツを教えられたらいいのだが…速く動けばいい、としか伝えられないので確かに炭治郎に聞いた方がいいと思う。
炭治郎がどんな努力をして力を付けたのか、私達は知る必要がある。
「えーっと、肺がブォンってなって…」
…しかし、炭治郎の言葉を理解する事は難しかった。
会得しようにも理解ができず、私達が頭をかしげていると、何処からともなく、しのぶ様がやってきた。
「炭治郎君が会得したのは、全集中・常中という技です。
これはまぁ基本の技というか、初歩的な技術なので、できて当然ですけれども。」
しのぶ様は相も変わらず美しい笑顔、優しい声色で話す。
…うん、しかし棘は感じる。
炭治郎が修行して身に付けている力は、"全集中・常中"というものらしい。
…ん?"全集中・常中"?
私がぽやっとしのぶ様を見ていると、不意に目が合って私に笑いかけてくれた。
それは貼り付けた笑顔ではなくて、私は女性相手にドギマギしてしまった。
炭治郎が赤面する気持ちも分かる。
「小波は、ここに来た時から出来ていましたね。」
「…あ、やっぱりですか。」
その技術は、既に私が会得していたものだった。
師匠の海勢頭さんの稽古で、身に付けるように言われ、必死で1ヶ月程かけて会得したものだ。
「っはぁぁあ!?」
「へっ!?」
伊之助と善逸は、てっきり自分達側だと思っていた私が、既・会得組に仲間入りしていた事に驚いていた。
実際私も驚いている。
炭治郎が努力して身に付けた、対カナヲさんの秘訣が、私が当たり前のように常に行っていた技術なのだから。
もっと早く気付いて皆に教えてあげれば良かった。
「そうか、小波はやっぱりできるんだな!カナヲと近い匂いがしたんだ。」
炭治郎は何となく気付いていたようだ。
「そうなの!?分からなかった…」
まぁ仕方ない…炭治郎とは修行がほぼ別の内容だったから、という言い訳をしてみる。
私が全集中・常中を会得していたと知り、伊之助はぐぬぬ、と拳を握っている。
猪頭の下では、頬を膨らましていそうで、それを勝手に想像して私は笑いを堪えていた。
しのぶ様は伊之助の前に腰を降ろし、肩をポムっと叩いて声をかけた。
「まぁ、できて当然ですけれども。
仕方ないです、できないなら。
しょうがないしょうがない。
小波は出来ますからね、また守ってもらったらいいのではないでしょうか。」
わぁ、伊之助が言われたくない言葉をよく分かっているなぁ。
人の性格を把握するのが早い…さすが柱…
「はあ゙ーん??
今度は俺が小波を守るんだよ!
できてやるっつーの!当然に!!
舐めんじゃねぇよ乳もぎ取るぞコラ!!」
「ちょっと!嬉しいけど!
しのぶ様になんて事言ってるの!嬉しいけども!」
案の定大奮起した伊之助だが、言葉が良くない。
私は照れ隠しもあって、伊之助の太ももをペシっと叩いた。
その間に、しのぶ様は善逸の事も赤面、そして大奮起させていた。
「数年前の私にもできたんだから、伊之助や善逸も出来るよ!15歳だもんね!」
善逸は16歳だっけ…
すっかり調子に乗った私は、とどめを刺すように二人の肩を叩くと、二人は勢いよく道場を出て修行に向かった。
私と炭治郎も二人の後を追い、こうして私達は仲良く四人で修行を始める事ができたとさ。
あれ、昔話?