第六章 機能回復訓練
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鬼滅の刃たかはるとその祖父と3人で暮らしていたヒロインと伊之助の物語。
一応原作沿い。途中、抜けている部分があります。
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あれから結局、あの体勢のまま伊之助は私の肩に頭を預けて寝てしまった。
本当に、私を心配してくれていて、今まで寝ていなかったんだと思った。
スヤスヤと寝息を立てる伊之助を起こさないよう、私の隣に寝かせると、私達は狭いベッドで眠った。
朝起きると伊之助は、隣に居なかった。
「小波さん、おはようございます。
朝食です。」
私が寝起きの頭でボーっとしていると、ハキハキとしたアオイさんの声が聞こえてきた。
「あ、はい!おはようございます!」
私は朝食を食べるために体を起こすと、アオイさんの後ろに何だか見覚えのある、懐かしい感じのする人を見つけた。
「おはようございます、小波さん。
体の調子はどうですか?」
その人はニコニコと私に近付いてきた。
私はそのふわふわした特徴のある声を聞いて、思い出した。
「………!!??!?ああああの時の!!助けにきてくれたあの隊士の方!?ですか!?」
私がおじいちゃんとたかはる兄さんと三人で山に住んでいた時、私はお金を稼ぐ為に山の麓の町で働いていた。
その町からの帰りに、鬼と遭遇したところを二人組の鬼殺隊士に助けてもらった。
その片方の隊士と今、再会したのである。
私はその時、直接鬼の被害にあった訳ではないが、私は目の前のこの女性隊士に憧れて、鬼殺隊を志したのだ。
「ふふふ…。お久しぶりですね。
本当に、鬼殺隊に入ったのですね。
私は蟲柱の胡蝶しのぶといいます。
あの頃は、まだまだ駆け出しの隊士でしたけどね。」
しのぶさんは、絵画のような美しい笑顔のまま私に名前を教えてくれた。
私を覚えていてくれた事がこの上なく嬉しい。
しかし、昔とは違う表情や、柱になった事等、様々な事が気にかかってしまった。
でも私達は、それに触れていいほどの関係ではない。
さらにしのぶさんからは、触れて欲しく無いという気持ちも感じ取れた。
「あの時も、そして今回も、助けて頂いてありがとうございます…!
私、しのぶさん…あ、しのぶ様に憧れて鬼殺隊に入りました!
これからも、精進します!」
すっかり昔の事を懐かしんでいたあまり、柱ともあろうお方をさん付けしてしまった。
別に"さん"でもいいですよ、と言いながら、しのぶ様は続けた。
「小波さんは、ご自身の呼吸で人の細胞に干渉する事が出来ると聞きました。
凄い事です!」
「…いやいやいやいや滅相もございません!!
大した事ないです!たまたまです!
恐縮です!
いやぁ身に余る有り難きお言葉です!」
私は使い慣れない敬語を連ねて両手と首をブンブンと横に降った。
しのぶ様が仰った事は、二つだった。
私の体力が戻ったので、毎日、自身の怪我を自身で回復させるように、という事と、
ある程度歩けるようになったら、修行も兼ねて蝶屋敷の患者の手当をするように、という事だった。
「朝食の前に長話をしてしまってごめんなさいね。
では、私はこれで。」
そう言ってしのぶ様は綺麗な柄の羽織をフワッとはためかせて行ってしまった。
─アオイさん…しのぶ様…素敵すぎるよ…
─ええ。私もそう思います。
…あ、朝食温め直してきましょうか?