第五章 那田蜘蛛山
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鬼滅の刃たかはるとその祖父と3人で暮らしていたヒロインと伊之助の物語。
一応原作沿い。途中、抜けている部分があります。
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「はーぁ、3日ぶりに体洗えたー。
すっきりさっぱりしたわぁ!」
私は湯浴みを終え、スッキリ爽快な気分で部屋に戻った。
すると、私の部屋のど真ん中に、何故か伊之助が大の字で寝ていた。
その脇には猪頭。
一瞬部屋を間違えたかと思ったが、隣の部屋からは炭治郎と善逸の話し声が聞こえてきたので、私の間違いではない事が分かった。
「伊之助…?」
小さな声で呼ぶが、なんとも気持ち良さそうに寝ているので、そのままにしておいた。
恐らく炭治郎や善逸だったら、何事かと驚くかもしれなかったが、伊之助は不思議と私の部屋に馴染んでいた。
だから私は、部屋に届いていた裁縫箱と町で買った黒い布を使って、スカートの中に履く二分丈のズロースという下着を作り始めた。
(これでスカートの中のスースーが改善される!!これ、女性隊士用に商品化したら売れるんじゃ…。)
私はそれが実現可能か、商品化にかかる費用や手間、そして売り上げ予想を考えていた。
取らぬ狸の皮算用…というやつだ。
「んー、小波…?
…………!!
おいっ!!
お前戻ってたのかよ!!起こせよ!!」
起きるや否や、いきなり大声を出せる伊之助が羨ましい。
寝起き最悪の私はそう思う。
「あぁ、ごめんね?
気持ち良さそうに寝てたからさ、ほっといちゃった。」
てへ、とは言わないがおどけてそう言うと伊之助は、ふんっ、と鼻を鳴らして胡座をかいて私に体を向き直した。
「着替えとか、ミジタク?とか、こっちの部屋ですんだろ?」
言い慣れない言葉を使う時、イントネーションが若干おかしくなる事が微笑ましいと思うのは伊之助には内緒だ。
「え?うん。そうだねぇ?」
恐らく善逸辺りに、私の部屋が別である理由を教えられたのだろうと思った。
「…じゃあ、それ以外は群れにいろ!
離れんな!!」
…え?
「ぶふっ!!群れ!?
…あぁ、そっか!群れね!
ふふっ、そうだね!
ちゃんと群れにいないとね!
誘ってくれてありがとう。」
まさかの動物的「群れ」発言に吹き出してしまったが、言いたい事も分かるし、何よりその気持ちが嬉しかった。
心から漏れてしまう笑みを隠さず、伊之助に向ける。
「じゃあ、今からそっちの部屋にお邪魔するね。」
裁縫も終わっていたので、立ち上がって浴衣を直す。
すると伊之助はおずおずと近付いてきて、私の肘辺りを軽く掴んだ。
私を無理矢理引っ張ったり、連れ回したりする時の掴み方ではない。
いつもと違う様子に困惑しているのも束の間、伊之助は顔を近付けてくる。
そして、
こつん
と、例の如く額をくっつけてきた。
未だにこれには慣れず、ドキッとしてしまう。
そして伊之助がこれをする予兆もまだ分からないので、心の準備もできない。
する時は言ってと以前言ったが、直感で動く伊之助には難しい事だと思い、許す事にした。
…嫌じゃないし。
5秒くらい経っただろうか。伊之助が額を離す代わりに、今度こそ腕を強く引っ張った。
「よし!!行くぞ!!!」
離れた額を名残り惜しく思う気持ちはどこかにしまっておき、腕を引かれるまま私は炭治郎達の部屋に行った。
─私がそっちの部屋に行ったら、おでこくっつけられないねぇ…?
─あ?小波の部屋でやればいいだろ。
─あぁ、一応考えてるのね…
─へっ!舐めんな!!
─小波!来てくれたんだな!人数が多い方が楽しいよな!!
─うわぁぁ!お風呂上がりの小波も可愛いねぇ!!さ、さ、この座布団使ってー!
─2人ともありがとう!
…伊之助、呼びに来てくれて、ありがとうね!
─ししししし!