第三章 再会
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鬼滅の刃たかはるとその祖父と3人で暮らしていたヒロインと伊之助の物語。
一応原作沿い。途中、抜けている部分があります。
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「ここが私達の部屋ね。…お邪魔しまーす。」
私が襖を開けて部屋に入ると、伊之助も
「オジャマ…シマス…」
と言って、先に首を覗かせ、それから部屋に入ってきた。
「オジャマシマス」を唱えないと足を踏み入れてはいけないとでも思っているのかと、勝手に想像して私は笑いを堪えていた。
伊之助は部屋の至る所を開けたり覗いたりして、新しい場所に興味津々だった。
「ここは誰の縄張りでもないから大丈夫だよ。
というかむしろ、今は私達の縄張り、みたいな?」
そう言いながら私は荷物を降ろし、刀を壁に立て掛けた。
私の長い刀はバランスを崩しやすいので、壁の隅に置き、部屋に入ってきた仲居さんに見られないよう、布を掛けた。
盗まれでもしたら大変だ。
「伊之助も、刀貸して。
刀持ってお風呂なんて行ったら即行お縄だよ。」
あ?お縄ってなんだ?と言いながらも、意外にも素直に刀を渡してくれた。
鬼殺隊の命とも言える刀を預けてくれるのだから、信頼はされているのだと、なんだか心がほっこりした。
「役人に捕まって牢屋に入れられて、しばらく動けなかったり、嫌な事させられたりするんだよぉ〜。」
ひやぁ、怖いねぇ、そう言いながら伊之助の刀も布に隠した。
「なんでだよ!!何も悪ぃ事してねぇだろ!!そんなもん俺がぶっ飛ばしてやる!!!」
伊之助は激しく地団駄を踏みながらご立腹した。
「いや、そんな事したら打首だからやめよ?
それより早くお風呂!」
久々に清潔な部屋に入り、より自分の汚さを実感した。
伊之助に抱えられてた時、かなり臭かったのでは…と心配になったが、風を切って走ってくれていたおかげで匂いは大丈夫だろう…という決断(自己満足)に至った。
「さ、伊之助もお風呂行こう。ふ、ろ。」
部屋にあったタオルを二人分取り、その内1枚を伊之助に投げた。
反射的に受け取った伊之助だったが、それはすぐ私に向かって投げられた。
「ぁあ!?行かねぇ!
刀も持たねぇで、敵が来たらどうすんだ!!
お前一人で行け!!俺は縄張りを守らなきゃなんねぇ!!!」
いちいち説明が必要な伊之助に、小さくため息を吐きつつも、でもそれも嫌いじゃないと自分で分かっていた。
子供の「なんで」に答える親の気持ちってこんな感じなのかと、しみじみ思った。
いや、私まだ15歳だけど。
「や、ごめん。縄張りとは言ったけどさ、誰も襲って来ないし、敵意ある人はいないし、大丈夫だよ。
お風呂は、疲れを取ってくれるから、入ると心も体も元気になるの。
………まぁ、今よりもっと強くなれる!って事だね。」
我ながら上手いこと言ったなと、自画自賛していると、伊之助は目をキラキラさせて私に投げつけたタオルを奪い返した。
「ったくそういう事は早く言え!!!
なんだそうか!!もっと強くなれるのか!
おいっ!風呂はどこだっ!!!」
私は腕を引っ張られながらも、急いで浴衣を二人分取ってから部屋を出た。
(投げたり奪い返したり怒鳴ったり引っ張ったり、忙しいなぁもう。)
そう思いつつも、私の痛めた手首には触れないようにし、時々案じるように窺う伊之助の優しさを感じていた。