第三章 再会
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鬼滅の刃たかはるとその祖父と3人で暮らしていたヒロインと伊之助の物語。
一応原作沿い。途中、抜けている部分があります。
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伊之助の猪突猛進のおかげで、あの後15分くらいで私達は町宿に到着出来た。
と言っても、私はただ抱えられていただけだったから、1歩も足は動かしていない。
どこかで疲れていずれ私を降ろし、自分で歩け!なんて言われると思っていたのに、あの後もずっと私を抱えて走っていた。
普通に歩いていたらその倍は時間がかかっていただろうから、伊之助の腕力と体力は宇宙だと思った。
「はぁ……小波!おい!ここでいいのか!!
なんか書いてあっけど、俺は読めねぇぞ!!!!」
流石に少し息が乱れている伊之助が、私を抱える手を離しながら言った。
「ここで合ってるよ!
「旅館」って書いてあるんだよ。
それにしても……いやぁ、あっという間に着いちゃったねぇ。
お疲れ様!ありがとう伊之助!
流石!山の王!よっ!!親分っ!
凄いねっ!!!」
私は看板を指差して読み方を教えた後、わざとらしく手を口の所へ持ってきて、伊之助が言われて嬉しいであろう言葉を羅列した。
「ウハハハハ!!!凄いだろう!
もっと褒め讃えよ俺様を!!!ウワッハッハッ!!!」
そうすると満足気に腰に手を当てて嬉しがるもんだから、伊之助はこんなナリをしていても凄く可愛いと思う。
まぁ、僅かしら友達贔屓がある事は否めないけれども。
私は、些細な事で大喜びする我が子に微笑みかける保護者のような気持ちで伊之助を見てから、宿の戸を開けた。
「さ、入ろ。すみませーん。
部屋、空いてますか?」
戸を開けると、人の良さそうなお婆さんが出てきた。
その奥では、夫婦?ような男女が何かの料理を作りながら、どうも!と声を掛けてくれた。
先程は、宿探しをしていて不愉快な思いをしていた為、温かい雰囲気に包まれて私は安心した。
伊之助は私の羽織を軽く掴みながら、恐る恐る戸をくぐっていた。
さっきまで親分と持て囃されてご機嫌だった姿とのギャップに再び可愛さを感じつつも、逃げずに一緒に入ってきてくれた事に心の中で感謝した。
ここでお礼を言っても、俺は宿なんか怖いと思ってねぇ!と言い返されるだけのような気がしたので、あえて感謝は心の中に留めておいた。
「宿泊ですか?部屋は…1つでいいですかねぇ?」
お婆さんに私達がどう見えたか少し気になった。
しかし、私は伊之助の風貌に慣れていると言えども、客観的に見て猪頭を被った男と頭から爪先まで汚れた女が共に歩いてる様子は普通では無いと思ったので、他人が抱く自分達への想像は気にしないようにした。
…じゃないとやってられないでしょう?
「いえ、宿泊ではなく休憩で、出来れば二部屋がいいのですが…。
お代はいくらになりますか…
……………あぁ…いや、一部屋デイイデス…」
私は近くにあった料金表を見て恐れをなし、一人一部屋を断念した。
伊之助は、私達のやり取りを頭に?を浮かべながら聞いていた。
私達は仲居さんに風呂の場所を教えてもらった後、部屋の前まで案内された。
そしてすぐ、仲居さんは一礼して階段を降りていった。