第三章 再会
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鬼滅の刃たかはるとその祖父と3人で暮らしていたヒロインと伊之助の物語。
一応原作沿い。途中、抜けている部分があります。
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俺は最終選別を終えて早速鬼を探しに山に入ろうとした時、懐かしい感覚を感じた。
辺りの気配を注意深く感じながら山から離れると、そこには10年かそこら振りの俺が今まで関わった数少ない人間の内の一人を見付けた。
あれ、小波じゃねぇか…?
俺の子分…小波が変な男に無理矢理連れて行かれそうだったから、俺はそいつをぶっ飛ばした。
それから俺は小波に声をかけた。
なのにこいつはいきなり泣き出しやがって、座り込んじまった。
相手が小波じゃなかったら、多分俺は誰が泣こうが知らんこっちゃねぇ。
俺は考えるのが嫌いだが、こいつをどうにかする為に頭を使って考えた。
「なんで居なくなるのぉぉ」
そしてこいつが言った言葉を思い出した。
何が居なくなったんだ?
俺はここに居るじゃねぇか……。
しばらく考えて、昔ガキの頃に俺がこいつの家にめっきり行かなくなった事だと気付いた。
なんだよ…俺が泣かせたってことじゃねぇか。
こういう時は、謝るのか?
子分が泣いてたらどうにかするのは親分の役目だ。
俺は、赤ん坊の頃に母猪が俺にやってくれたように、小波の額に俺の額をくっ付けた。
「…悪かった。」
それだけ言って、それからは俺はもう待つしか出来なかった。
泣き止んだ小波を立たせてから、俺は困り果てた。
「ずっとここにはいれねぇしなぁ。」
そして、今に至る。
俺は小波と「やど」、とかっつう場所に向かっている。
小波が泣き止んだ後、ひとまず俺は場所を変えたかった。
人の気配の多い場所は居心地が悪かった。
「俺は山に縄張りがある!!
俺はそこに行く!!!」
小波を立たせた手を離し、腰に手をやってそう言うと、
「そうやって、また私を独りにするんだ………」
小波はしょぼくれながら口を尖らせた。
「ちっ、しょうがねぇな。
子分のお前なら特別に招いてやってもいいぜ!!
吐血大サークルだ!!!」
そう言ってやると、小波は今日初めて笑った。
「ふっ…ちょ……やだ、なにそれ……!
ふふっ…
……出血大サービスでしょ!!あっはは!!」
小波はお腹を抱えて大笑いしていた。
俺はそんな小波の笑う顔を見て、胸の当たりがなんだかホワホワした。
あぁそうだ…。
ガキの頃、俺はこの感覚が怖くて嫌だった。
自分が弱くなったと思ったんだ。
それで、俺はその原因の小波に会わなくなったんだっけなぁ…。
そんな事を考えていると、小波が俺の腕を引っ張って、俺の斜め前を歩き出した。
「頑張って少し歩いて、町宿に行こう!
まだ昼だし、鬼が出る時間まで少し休もうよ。」
伊之助も、疲れた身体を癒した方がいいよと、どんどん俺を引っ張っていくが、
「はぁぁあ!?
俺は疲れてねぇ!宿には行かねぇ!!
金もねぇ!!!」
俺にとっちゃ、その宿ってやつより山の方が居心地が良いに決まってる。
だからそう言って俺は無理矢理足を止めた。
すると小波は振り向いて、俺の肩を軽く叩きながらこう言った。
「そっか…………
伊之助、宿に行くのが怖いんだね…
そうだよね、初めての場所は誰だって不安よね…
大丈夫、私が着いてるから!
お金も2人分出してあげるから、安心して着いておいで!!」
くそっ!!!子分のくせに、胸張って生意気言いやがって!
俺は小波を傍らに抱えて、思い切り走った。
「ぁああ!?怖くねぇわ!
不安じゃねぇわ!!
行ってやらぁ!!
俺に着いてこい子分!!!
ただし!!金は!!持ってねぇぞ!!!
ウハハハ!!!!
猪突猛進!!!」
小波は、うわっ!と声を上げてから、ケラケラ笑った。
「相変わらずで良かったよ!…じゃあ、しばらく真っ直ぐでお願いしまーす!!!」
相変わらずって、どういう意味だ……?
……まあ、いいか!!!
今は、この心地よい感覚に身を任せて、俺はひたすら真っ直ぐ走った。