第三章 再会
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鬼滅の刃たかはるとその祖父と3人で暮らしていたヒロインと伊之助の物語。
一応原作沿い。途中、抜けている部分があります。
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善逸くんや炭治郎と会ってからその後、伊之助どころか人と会う事は無かった。
鬼に喰われて人自体が減ったのか、皆上手く身を隠しているのか…後者だと思いたい。
そして7日後の夜明け、私は藤の花に導かれるように山を降りた。
私は元々、師匠が特別に私の日輪刀を用意してくれたお陰で、鎹鴉と隊服の支給、階級等の説明だけを聞いて隊士説明会を終えることが出来た。
それはそれはスムーズで、隊服も寸法を測ったら直ぐに用意された。
いくつかのサイズがある中で、そこから身体に合うものを選ぶようだ。私の体型がThe・普通であった事を実感した。
従って、私は一番に説明会を終えたのだ。
私が最後の説明を聞いている時に、2人の合格者が姿を見せたが、それが炭治郎でも善逸くんでもなかったので、私は説明が終わると直ぐにその場を後にした。
直ぐにでも湯浴みをして、美味しい食事をとり、ふかふかの布団で横になりたかった。
炭治郎や善逸くんは気掛かりではあったが、生き残っているという根拠の無い自信があったので、今後の任務での再会を楽しみにしながら、人里を目指して歩みを進めた。
疲労も溜まっており思うように足が動かなくなってきた頃、ようやく民家がぽつりぽつりと見えるようになってきた。
山手前の田舎に宿はないし、あと少し歩けば町中に着くはず…。
そう思って自らを奮い立たせたその時、50歳後半くらいの男が声をかけてきた。
「お嬢さん、もしかして宿を探しているのかな。
残念だけど、この辺りには宿はおろか、食事処も無いんだよねぇ。」
私の汚れた衣服、一軒一軒見ながら歩く様子等から、私の求めているものを推察して、話しかけてきたのだろうか。
「やっぱりそうですか。それでは町まで行ってみます。」
私が軽くお辞儀をして、また歩き出そうとすると、その男は言葉を続けた。
「町は遠いよ。
そうだ、私の家に来るといい。
風呂、食事付きでお代は要らないよ。」
その男は、私のためにそのような提案をしてくれた。
地面に目を落として考え込んだ私に対し、その男は「家内の手料理は美味しいぞ。」とさらに甘い言葉をかけてきた。
もう身も心も疲労困憊だった私は、お言葉に甘えようとその男の目を見た。
(……!?)
その男は、善意で私に声を掛けているのではないと察した。
その男の双眸に光は無く、不気味で下品とも言える闇を放っていたのだった。