渡邉家
朝ご飯を作りながら
心の中で、
理佐(お願い、今日は愚図らずに起きてくれ。)
そう何度も願う理佐パパ
今日はねるママのお仕事の都合でお昼まで子供たちと3人きりなのです。
理佐「愚図ったら、とりあえず…」
次女のひかるちゃんは寝起きがとっても悪い
酷い時はまだ眠いと気が収まるまでギャン泣きします
しかも。大好きなママと保乃ちゃんにあやしてもらわないともっと泣くのです。
今日愚図って起きるかどうかは分かりませんが
過去に何度もママがいいとギャン泣きされた理佐パパは
もしものために沢山のあやしグッズを用意したのです
理佐「よし…あとは…保乃だな、」
理佐パパはもうひとつ、問題を抱えています
それは、
保乃「ふぁぁ〜っ…おはよぉ、」
理佐「お、起きたね〜、おはよう」
保乃「………ママは?」
理佐「ママはお仕事で朝早く行ってきますってしたよ
お昼まで3人で帰りを待とうね」
保乃「……まま、」
理佐(やばい、涙目になってる、)
保乃ちゃんは今、パパ見知り、パパいやいや期なのです。
理佐「保乃〜、大丈夫だよ
ほら、おいで?」
保乃「グスッ…やぁ、ままっ」
理佐「ぐっ、、、」
どちらかと言うとパパっ子だった保乃ちゃんですが
大きくなるにつれていつの間にかママ大好きっ子に、
ここ最近、パパいやいや期に突入するまでになってしまったのです。
愛娘の一言にショックを受けてると
保乃ちゃんは部屋中を見て周りママを探し始めました
保乃「…ほんまに…まま、おらへん、」
理佐「…ほの、」
保乃「…」
静かに涙を流す保乃にしゃがんで目を合わせるも
ぷいっと顔を逸らされてしまいました、
理佐「…パパでごめんね、ママがよかったよね、」
保乃「………」
理佐「…ママ、お昼まで帰ってこないから寂しいけど、
休憩の時にお電話できるか聞いてみるから、
ごめんね、今日はパパで我慢してね、
ママが帰ってきたらいっぱい甘えな?」
自分で言ってて悲しくなって泣きそうになる理佐パパ
未だに目を合わせてくれない愛娘の頭を撫でて
ご飯にしようね、と声をかけて立ち上がり
次女を起こすために子供部屋へ向かいます
理佐(はぁぁぁ…保乃に嫌われるようなことした覚えないのに、
知らぬ間に何かしちゃったのかな、
これでパパ嫌いなんて言われたら、耐えられない。
泣いちゃう。寂しさで死ぬ。)
朝から心が折れそうな理佐パパ
ねるママに心配は掛けたくないので、気合いを入れ直して
子供部屋を開けます
理佐「あ〜、、、すんごい寝相、w」
いつもきちんとベッドに乗って寝ているはずなのに
床に大の字で寝てるひかるちゃん
理佐「ベッドから落ちる時は泣かないくせに〜、」
よっ、と寝てるひかるちゃんを抱えて
リビングへ戻ります
理佐「本当にひかるはよく寝るなぁ」
ひかる「んー…zzz」
保乃「…パパ、ひぃちゃんまだねてるん?」
理佐「そうだよ
ママが抱っこして起こすと
あんまり泣かないって教えてくれたから」
保乃ちゃんから駆け寄ってくれた事が嬉しくて
ガッツポーズをしたいのをグッと堪えて答えると
保乃ちゃんはまた俯いて
そっか、と言って先に子供椅子に座ってしまいました
理佐「お、保乃偉いなぁ
早くひかる起こしてご飯にしよっか」
保乃「……」
理佐(避けられてる…辛い…)
ショックでたまりませんが、なんとか気を取り直して、
だっこしたままひかるを起こす理佐パパ
ねるママの助言通り、愚図らず起きてくれて一安心
理佐「ほら、ひかるも椅子に座って」
ひかる「はあい」
保乃「ひぃちゃんおはよっ」
ひかる「んふふ、ほのちゃんおはよぉ」
ひかるが起きてくれたおかげで
保乃もいつもの笑顔がようやく見れて安心するも
やっぱり自分には笑いかけてくれなくて、
嫌われていることを思い知らされて何度目かも分からないショックを受ける理佐パパ…
ひかる「いたぁきます!」
保乃「いただきますっ」
理佐「いただきます、」
ひかる「ん〜!おいしぃ〜」
理佐「よかった、保乃は、どう?美味しい?
パパが作ったんだけど、」
保乃「ほの、ままのごはんのがすき」
ひかる「ひぃちゃんはどっちもすき〜」
理佐(……………泣きたい。)