れいれな🧀🍒
恋ってめんどくさい
些細なことで期待して、ドキドキして
相手の全てに一喜一憂して
知らなかった自分に戸惑って
なりたくない自分になってく
「…だめだ、」
手元に持っていた何の反応もしないスマホをカバンの中にしまう
一体どれだけにらめっこしていたのだろう
こんなになるくらいなら恋なんてしたくなかった。
これが恋だって気づかなければよかった。
嫌な夢を見た
でも、見方を変えれば…続きが見たくなるような夢かも。
その夢せいかいつもはベッドから出るのを渋るのに
内容を思い出してしまいそうで
今までに無いくらい勢いよくベッドから出た
大丈夫、何も見てない何も見てない。
そう言い聞かせるように
何も考えないように少し大きめの音で音楽を流して
支度をする
セットも綺麗にまとまったし
服装も乱れてない
忘れ物もない
「よし。」
気合を入れて会社へ向う
いつもは憂鬱でしかない仕事も
気を紛らわすのに向いてて
夢中でやっていたら
上司に褒められるほど成績が上がった
大「先輩、休憩いただきます」
土「ああ、待って一緒に行くよ」
大「え。先輩って煙草吸われましたっけ」
土「んー、実は少しだけね」
いつもニッコニコして家族の話をする先輩が少し元気がないのは朝から気づいてはいたけど、
煙草に逃げようとするあたりただ事じゃないと思って
話聞きますよと言うと
先輩はいつもの笑顔でニコッと笑って助かると後から着いてくる
ポケットから煙草とライターを出して
咥えて、火をつけ
そして、ゆっくり味わうように吸い込む
土「…なんか、セクシーだね」
大「ふふっ、なんですかそれ」
そんなやり取りをしながら先輩に1本手渡すと
煙草を火をつけずに見つめている
大「無理強いはしませんよ、体にいいものじゃありませんし」
土「そうなんだけどねぇ。」
大「奥さんと喧嘩でもしましたか?」
先輩は分かりやすくビクッと反応して
エスパー?なんて聞いてくる
いや。先輩がわかり易すぎるだけだと思うけど。
と思ったけどこんなに気分が落ち込んでる先輩を見るのは初めてだったから、その言葉は飲み込む
大「話、聞きますよ?
いつもお世話になってるので、こういう時くらい恩返しさせてぐさい」
土「ありがとう、、、」
実はね…と話し始めた
初めはこちらを伺うようにぽつりぽつり話していたのに
話してる途中で気が乗っちゃったのか
土「それが、すっっっごい、なんていうの、あれだよ、あれ、」
大「腹が立った?」
土「そう!!!腹たった!!!」
見たことないくらい感情をむき出しにして話してる
なんだかいつもの先輩じゃないみたいで面白いけど
大「…それ。結局惚気ですよね」
土「惚気じゃないよー!本当に初めてってくらい腹たったんだから!」
深刻な顔をして放つ言葉は実は砂糖なんじゃないかって訳分からないことを思わされるくらい甘ったるい話だった
いってらっしゃいのキスがなかっただの
子供にママの方がいいと言われただの
奥さんに冷たくされただの…
先輩にとっては深刻な話なんだろうけど
自分からしたらそれを深刻と言える先輩は幸せ者だと思う
大「心配して損しましたよ」
土「えー、これでも真剣に悩んでるんだよ?」
大「…幸せものですよ。先輩は」
吐息混じりに出た煙は
ふわふわと香りだけを強く残して消えてく
その姿が何故か夢を思い出させて
慌てて火を消す
土「今日はもう吸わないの?」
大「…なんか、気分じゃないみたいです」
土「なにー?悩み事?恋愛系?」
ニタニタと楽しそうに聞いてくる
こんど奥さんに何か告げ口してやろうと心に決めて
そんなんじゃないですと出来るだけ冷たく言うと
先輩は楽しそうなニタニタ顔から
誰かを思い浮かべたように嬉しそうに笑った
土「今の玲ちゃん理佐に似てる」
大「理佐って…渡邉さんですか?」
土「そう、何があったか分からないけど
きっと理佐ならいいアドバイスくれるんじゃないかな」
大「アドバイス…」
土「ふふっ、やっぱり悩んでたんだ」
大「…まあ。」
土「ふふっ、理佐に昼空いてるか聞いといてあげる」
ぽんっと背中を叩かれて先輩は先に喫煙室から出た
やっぱり告げ口するのはやめておこう。
1/3ページ