いのかりん🦒🎐
呼び出された体育館裏
放課後にって、ベタやなぁって呑気に考えながら向かうと
呼び出した本人はもう来ていた
私に気づいたその人は顔を赤くしながら俯いてる
誰やっけ…1個上の先輩だった気がする、
ここに呼び出すってことは告白だろう
なかなか口を開かないその人に徐々に苛立ち
はよ要件済ましてくれんかな…
そんな生意気なことを考えつつ、
数ヶ月前のことを思い出していた
『っ…好き、』
『え、梨名、今…』
『ごめんっ、』
うちなんて、まともに顔も見ずに一方的に気持ちを言って
なんでか泣けてきて、断られるのが怖くて、
拒絶されるのが怖くて逃げたくせに…
しかも、それ以降アイツを避けて続けてる状態
「あの!えっと…好き、です…!
俺と付き合って欲しい…!」
真っ直ぐ私の方を見て言うその人を見て
うちもこんな風に堂々と告白出来たらよかったのに
この人がアイツならよかったのに…
そんなことを考えるような失礼なうちは、
こんな真っ直ぐな人には似合わない
でも、どう言ったらいいんだろ…
すみません、学業に集中したいので、とか?
いやいや、うちそんなキャラじゃないし
悩んでても仕方ないし、
無難にごめんなさいでええか、
「ごめんなさい、」
「だよね…でも、なんでか聞いていい…?」
まさか理由を聞かれると思わなくて少し慌てた
学業を理由にしたら落ち着くまで待つよとか
卒業したらーとか言われそうやし
「えっと…付き合ってる人が居るので、」
「そっか、居ない方がおかしいもんね、
ごめんね、時間とらせて。来てくれてありがとう。」
今にも泣きそうな顔で去ってく先輩
結局嘘ついちゃったなぁ、
この嘘が変に広まらないといいけど、
まあ、広まったところで、困りはしないんだけど。
アイツには知られたら嫌だな。
「なんてね…帰ろ、」
鞄を取りに教室に戻ったら
松田あたりがからかってくるんだろうな
呼び出しされたのを知られてからずっとニヤニヤしてて
鬱陶しいくらいからかってきたし、
でも
そこに居たのは
「…どうだった?呼び出しは」
ずっと避けていたアイツ。
油断した、
今まで目を合わせないように、
居合わせないようにって気を張ってたのに、
しかも、呼び出しのことなんで知ってるん?
いや、何でもなにもない。
絶対…松田や、
よりによってなんで夏鈴に、
「ねぇ、聞いてる?」
「あ、ごめん、、、」
「で、どうだったの?」
「え、なにが、?」
「告白、されたんでしょ?」
「っ、なんで知ってんねん、」
「放課後に体育館裏とか告白しかないじゃん」
避けてたこと、怒ってるのかな、
なんだか声が低いし、話し方も当たりが強い感じがする。
自分が避けてたくせに
久々にした会話がこれか、って悲しくなる
「…なんで泣いてんの、」
「ごめっ、」
「泣きたいのはこっちなんだけど。
付き合ってる人が居るなんて…聞いてない…」
夏鈴の方を見ると
ポロポロ涙を流してて、
ねぇ、夏鈴…
なんで泣いてるん…?
「なんで、夏鈴まで泣いてんの、
それに…うちの事なんて夏鈴に関係ないやんか、」
「っ…私のことが好きなんじゃないの…?
あれは、嘘、だったの、?」
そんな事言わないで…
期待しちゃうやんか、
ただ泣くだけでなにも答えれずに居ると
夏鈴が両方の頬に手を添えてきて
優しく涙を拭きながら
夏鈴の方を向かされた
こんなブサイクな顔見られたくないのに、
「梨名…私は梨名のことが…好き
梨名も同じ気持ちじゃないの…?」
眉を八の字にして
目には涙をいっぱい溜めてて、
そんな可愛すぎる顔で。
ずるい。
夏鈴ばっかり、
「同じ、なんかじゃない、」
「っ…」
うちの言葉を聞いて
いっぱいに溜めた涙をポロポロ流して離れようとするから
少しでも想いが伝わるように
ぎゅっと強く抱きつく
「うちのが、好きやもんっ、」
「な、なにそれ、可愛すぎる…」
抱きしめ返してくれた力が少し強くてちょっと苦しい
でもそんなのどうでも良くなるくらい嬉しかった
「ねぇ、梨名」
「んー?
ンッ…?!」
「ふふっ、いじめた仕返し」
「なっ、うぅ〜っ、」
「あはは、もう1回しとく?」
「っ、あほっ!!」
「ごめんごめんw」
「ばーか!ばーか!!!」
「耳まで真っ赤だwww」
「うっさい!!はよ帰るで!!!」
「はいはいw」
ーーーーーーー
松「きゃ〜!夏鈴ちゃん積極的〜!」
武「作戦成功だね!」
松「ね〜、ここまで来るのにどれだけ苦労したか…!」
武「今度二人に奢ってもらおう」
松「あ、いいねぇ」
次の日の朝2人にマネをされて
朝から赤面することになったそうです。
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