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森田村(ほのるん)







『この前な、偶然なんてない必然なんだって本読んでん』


『そういうの好きだよね』


『ふふ、それ読んでな
ひぃちゃんとこうやって一緒に居られるのも必然なんやって』


『…自分で言っといて顔真っ赤にしないでよ』








顔を赤くして笑う彼女が言っていた事が正しければ



薄暗くなった部屋の天井をぼんやりと見つめることしかできないこの状態も必然なんだろうか。













「ひかる」


「あ、小林さん、おはようございます」








カーテンが開けられる音がして
看護師さんかな、と体を起こしたけどそこにいたのは


いつにも増して眉間に皺を寄せている小林さんだった



頼まれていた書類転送しておきましたと言うと
舌打ちをされた



うん。だいぶお怒りですね。







「休めって言ったはずだけど」


「…休んではいましたよ」


「過労で倒れた奴の言葉は信用ならない
入院中にも仕事するとかありえないから」


「すみません、気をつけます」


「もうひかるの言葉は信用しないって決めたから」


「ええ、そんな、」


「だから明日からしばらく休んでもらうから」







反論しようと口を動かそうとしたけど


ものすんごい速さで頬を摘まれて


怖い笑顔で言いたいことはあるか?と言われてしまえば


肯定しかできない。








「ふぁぃ、やふみまふ、」


「ん、よろしい」


「いてて、、、鬼上司、」


「あ?」


「いえ。」







部屋を出る際にも


ちゃん休めよ


と怖い笑顔で圧を掛けられてしまった




小林さんはしばらくと正確な日数を口にしなかった



それはきっとそれを知ったら



仕事をしてしまうと思ったからだろう




だからだいぶな日数なんだろうな、




彼女と別れて4年。




趣味も没頭出来ることもない私には仕事しか寂しさを紛らわせるものがなかった




一体何をしたらいいというんだ。
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