森田村(ほのるん)
急にひんやりとした空気が入り込んできて
落としかけていた意識が戻ってきて
薄目で隣を見る
ごめん、起こしたね
って謝る割にはどこか嬉しそうな顔をしてる
わざとやろって文句を言いたかったけど睡魔には勝てなくて
寝付きやすい場所を見つけるように彼女にひっつく
さっきまであつかった体が少し冷えてて
少しだけキツい香りもする、
ああ。またか、
「なぁ…また吸ったやろ」
「……バレた?」
体に悪いからやめなって言ったのに、
そう言っても無駄なことくらいとっくに知ってる
でも、彼女のことを思うとやめてほしいけど
彼女のこういう所を知ってるのは自分だけだと思うとやめて欲しくない
「…ごめんね」
何も言わないのを怒ったと思ったのか
情けないくらい弱々しく謝られた
そんなこと言うならやめればいいのに、
それとも、別のことへの謝罪なのだろうか
それなら今更すぎる。
「んーん、ええよ」
ぎゅっと強く抱きつくと
また弱々しく ごめん、と言われた
その後に続く言葉が怖くて
口を塞いでやる
「ンッ…保乃ちゃん、?」
「ひぃちゃん…ほの、目覚めちゃった」
「う、うん、」
「ひぃちゃんのせいやから…責任取って」
「ほの、ンッ」
ひんやりしていた彼女の体がねつを戻してく
とどめを刺すように
舌を絡めると
さっきはしなかった苦い味がした
やっぱりタバコは嫌いだ
でも、私だけが知ってると思えば嫌いにはなれなかった