森田村(ほのるん)
ねぇ。
いつになったら。気持ちを教えてくれるの?
手から伝わる胸の高鳴りも
熱の篭った瞳も
愛おしそうな触れ方も
跡がつかない程度に甘噛みする癖も
その後に切ない顔で離れるのも
全て勘違いじゃないはず
なのにいつまで経っても変わらない。
私たちはいつまでも進まないまま。
「ねぇ。ひぃちゃん」
「ん?どうした?」
「…ううん。呼んだだけ」
なにそれと優しく笑って
包み込むように抱き寄せられる
ああ。好きだな。
毎日毎日大きくなってく気持ちに追いつかなくて
不安になる
ずっとこの関係のままなのかな。
やっぱり保乃の勘違いなのかな。
勘違いなら、このままで居たいな。
でも。
ひぃちゃんに他に好きな人が居るなら。
「保乃ちゃん」
「ん…何…?」
「眉間にシワよってる、何か難しい事でも考えてたの?」
「…ううん、なんでもない。」
ひぃちゃんの肩におでこをつけて
出来るなら、このままひぃちゃんのそばに居たいと願いながら
ぎゅっと抱きしめ返す
きっと時間が経てばまた、進まない関係に
不器用すぎる彼女にヤキモキしてしまう
「ひぃちゃん。」
「なーに?」
「好き」