森田村(ほのるん)
「……えらい急やな」
「ご、ごめん、」
「ふふ、ええよ
でも迎えきてや?」
「もちろんだよ、いつ、どこに迎えに行けばいい?」
「んー、じゃぁ、今から
いつもの公園で」
いつもの公園
いつもの、
彼女と別れたのは3年も前の話だ
告白してくれたのも
振られてしまったのもその公園だ
あれ以来来てないないと言うのに
いつもの という言葉がなんだかくすぐったい
よく行ってた公園
あの公園
さくら公園
色んな言い方が出来るはずなのになんでその言葉を選んだんだろうか。
普段はあんまり使ってない脳は
こういうことばかりに敏感で色んな考えがぐるぐる回る
「ひいちゃん?もしもし?」
「あっ。ごめん、なんて言った?」
「いつもの公園まで迎えきて?
ひいちゃん今からやったらいつ頃来れる?」
「え、あー、20分くらいかな、」
「んじゃぁ、ブランコに乗って待っとるな?
気つけて運転してな」
「うん、ありがとう、」
じゃぁ、あとで
そう聞こえて直ぐに電話が切れた
まさか出てるなんて思ってもみなかった
きっと不在着信になるか、切られるんだろうって
「幻聴だったりして…」
どれだけスクロールしても
画面にはしっかりと通話履歴が残っていた
幻聴じゃなかったんだ。
〜♪
「ん、?」
保乃:寒いからはやくきてな?
全てを見透かしたようなメッセージにため息が出る
寒いからって、
もう彼女は既に公園に居るのだろうか。
なんで、どうして。
彼女はいつまで経っても忘れさせてくれない
もういいや。諦めてしまおう、
「す ぐ む か う、っと…」
…彼女の好きな飲み物でも奢ってやろうかな、