hbmi
君を忘れるのには、思い出が多すぎた
まさにその言葉がピッタリだ
家に
車、
コンビニまでの道や、
この公園、
全てに思い出があって
どこに行っても君を思い出して
どこにも居場所が無いみたいで
なんの思い出もない所へ
君がいないところへ、
逃げ出したい。
はずなのに、
ギィ…
「はぁ〜っ…さむ…」
君との思い出にしがみついて、
戻ってくるはずのない君への想いを拗らせている
「寒すぎ。」
「え、理佐…なんで、」
「…美波から聞いた」
「…そっか…」
久々に聞いたせいか
その名前を聞いて自然と体が反応した
聞いたってことは、理佐とは会ってるのか。
まあ、2人は同い年で仲良かったし、
「てか、寒すぎ。帰る、」
「え、」
「なに?なんか期待してたわけ?」
「っ…」
少し低い声で冷たい言葉が深く刺さる。
図星だった。
理佐が来てくれたことになにか意味があるんじゃないかって
みいちゃんが、まだ私を、
なんて都合のいい事を期待してしまった。
「…私も似たようなもんだから、気持ちわかるけどさ…逃げてないでちゃんと見なよ。」
理佐は立ち上がって私に背を向けて歩き始めた
「理佐、」
「…なに?」
振り向いて理佐は
眉を八の字にして
寒そうに体を小さくして
いつしかねるから貰ったと嬉しそうに見せてくれたマフラーに顔を埋めてる
理佐にまでこんなに迷惑かけて…申し訳ない。
「あの…ごめんね…ありがとう…」
「ふふ、お礼言うくらいならちゃんとぶつかってこい」
「うん…頑張るよ、」
「土生ちゃんなら大丈夫だから」
「うん。」
みいちゃんは、私の事もう何とも思ってないかもしれない
私なんかが、
って面倒なことばかり考えていたのに
理佐の言葉が不思議とスっと入ってきて、
なんでか、勇気を貰えたような気がした。
それに気づいたのか
理佐はいたずらっ子のような顔で小さく笑って
私から視線を外して
「土生ちゃん頑張るって、美波も頑張りなよ」
「…へ?」
「じゃ、私はねるのとこ帰るから」
振り向いて理佐が向いてた方を見ると
鼻を赤くしたみいちゃんが下を向いて立ってた。