年下
理佐「結果は、?」
美波「…」
理佐の声はしっかり聞こえてるけど
それに返事をする気にもならなくて
近くのドラッグストアで買ってきてくれた箱をただ眺めていた
ねる「みいちゃん…見るの怖いんなら、ねる見ようか…?」
頷いてしまいたかったけど
これ以上甘えたらいけない気持ちと
結果を知る恐怖で何も言葉が出てこない
ねる「…しばらく、1人で考えた方がよか
理佐、」
理佐「ああ、うん、」
ねる「近所を散歩してくるけん、何かあったら電話して?」
美波「…ごめん、」
ねる「もう、みいちゃん謝ってばっかったい!
みいちゃんは何も謝ることない」
理佐「そうだよ、それよりありがとうって言ってくれ方が嬉しい」
美波「っ…ねるっ、りさ、…ありがとうっ、」
ねる「ふふ、よかよ
じゃぁ、りっちゃん行こっか」
理佐「うん」
ドアが閉まる音がして
2人の部屋にひとりっきり、
他人様の部屋に入れさせてもらって
気を使わせて、1人にまでしてくれたのに
未だに箱を開けて結果を見る勇気は湧かない。
でも、結果は、
ここ最近の自分のことを思い返せば、何となく分かる。
妊娠…、瑞穂はどう思うんだろう。
あの子と別れてくれるんかな。
それとも、有り得ないって家から出ていってしまうんやろうか
きっと、いや、絶対困らせてしまう、
うちは…どうしたいんやろ。
瑞穂とうちの子供、
子供と2人っきり…
育児だけじゃない、
子供のために仕事だって両立しないと。
そんなの、自信が無い…怖い…うちなんかが、
美波「っでも…産みたい、」
ねる『もしもし?』
美波「ねる、理佐…ほんまに、ありがとう、
うち…決めた。産みたい、
子供と2人っきりなんて自信ない、
ちゃんと育てられるか怖い、
でも…瑞穂との子供、どうしても産みたいんよ。」
ねる『…わかった、
じゃぁ、今から行くから』
美波「うん。ごめんな、2人の家なのに気使わせて、」
ねる『気にしない!
困ってる時はお互い様やけん』
美波「ほんまに、ありがとう、
気をつけて帰ってきてな、」
はぁいといつもの柔らかい声が聞けて心が少し軽くなる
しばらくソファーで2人の帰りを待っていると
少し荒々しく玄関のドアが開く音がした
どうしたんやろ、、こっちに向かって走ってる、?
うちが心配で慌てて帰ってきてくれたのだろうか、
でもさっき電話した時には安心したように聞こえたけど、
足音がする方を振り返ると
きつく、頭ごと抱え込むように抱きしめられた
美波「っ、瑞穂、」
土生「ごめんっ…みいちゃんっ、ごめん、ごめんっ、」