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ヒプマイ短編



私は彼のなんなんだろう
都合のいい女?
付き合ってるわけではないのに一緒に住んでるし、やることもやってる
ほんとになんなんだろう
最近はこればっかり考えてる

「……い、おい!起きろ」
「なに、もうちょっと寝かせて」
「もう昼だぞ。俺は仕事に行くからよ」
「あ、そう、いってらっしゃい。私はまだ寝るから」
「ダメだ。こっち向け」

強引に顔を向けられ唇を奪われる
ちゅっと軽めのキス
なんて奴だ、安眠妨害だ

「左馬刻、仕事遅れるよ」
「連れてけよな」
「はぁ?……はいはい」

こうやってこの男は私のことをいいように使うのだ
まあ、私も使ってるから文句は言えないのだが
会ってしばらくは別にそういう対象……好きとかそんな感情はなかった
でもなんだろう、最近はこう
都合のいいように使われてるのかと思うとモヤモヤして機嫌が悪くなる
歳かな………
さっと支度を済ませ車のキーと財布とスマホと最低限のものだけ持つ

「できたよ、行こ」
「おう、悪りぃな」

口では悪いと言いながら、悪びれる様子もなく当たり前のように助手席に乗る
こいつほんとムカつくわー
心の中で悪態をつきながら眠たい目をこすって目的地まで車を走らせる

「ねぇ」
「なんだよ」
「左馬刻ってさ」
「おぅ」
「彼女とか好きな人いるの?」
「あぁ?なんだァ突然」
「なんとなく?」
「………好きな奴なら」
「そうなん?初耳。私でてった方が良くない?それ」
「なんでそうなる」

突然声が低くなりあからさまに機嫌が悪くなる

「好きな人いるんでしょ?」
「テメェ、わかってなさすぎだろ」
「なに、私のこと好きなの?」
「悪いかよ」

少し拗ねたようにもごもごと答える左馬刻って可愛いのね

「私も好きよ」
「あたりめぇだ。つか、」

……俺は愛してる

こいつは……ほんとにムカつく
付き合おうとかそういう一言もないところは癪だけど、今の一言で水に流してあげよう

「知ってるわ」

モヤモヤした気持ちもムカつく気持ちも全部吹っ飛んでニヤニヤしてしまう顔を必死に真顔にしながら隣でタバコを吸ってる男を見る
あ、やっぱムカつくから今度は私から愛してるって言ってやろ
あと付き合おうって言ってやるんだ
そう心に決めたのだった
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