壱頁完結物
「む、鏡花か」
街中を歩いていた芥川は赤い着物の少女を見付けて思わず足が向いた。
「鏡花」
「え?」
追い付き肩を叩くと少女は不思議そうな顔で芥川を見た。
「えっと…私、お姉ちゃんじゃない…」
「…は?」
鏡花に双子の妹が居たと理解するのに時間が掛かった。
*****
「人違いだ、失礼した」
「若しかしてお姉ちゃんを知ってるの?」
「嗚呼、以前駒にしていた」
「駒…」
妹は姉の異能を知っているのか悲しそうに俯いた。
「今は武装探偵社と云う処に居る」
「本当!?」
妹に手を取られ、芥川の肩が跳ねる。
「い、行くなら案内する…」
「行く!連れてって!」
*****
「此処だ」
赤茶色のビルを見上げる二人。
「此処にお姉ちゃんが…」
「行け、僕は此処までだ」
そう云い背を向ける芥川を引き留める。
「あの…!」
「僕は芥川。ポートマフィアの狗だ」
「芥川さん…」
「また会いましょう」
そう残して妹はビルへと歩を進めた。
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