壱頁完結物


「彼奴等を引き取ろうと思う」
龍頭抗争の後、孤児を育てると決めた俺は彼女にそう告げた。
彼女は驚いた顔で俺を見る。
「資金は俺が如何にかするし、場所は確保出来ているんだ。只五人となると俺一人じゃ手が回らない」

「俺と一緒に、彼奴等を育ててやってくれないか」


*****


「何だかプロポーズみたい」
「まぁ、其の心算なんだが」
照れ臭くなって頭を掻く俺を彼女が笑う。
「子供を養うから結婚してくれなんて話、聞いた事ない」
「俺もだ」
「でも貴方らしいかも」
「そうか?」
首を捻る俺を彼女が包み込んでくれた。

「人一倍優しい、私の大好きな作之助らしいよ」


*****


「お前の事も、必ず幸せににするから」
「うん」
「何時か俺達の子供も彼奴等と一緒に育てよう」
「うん…」
「泣いているのか?」
「だって…私こんなに幸せで良いのかしら」
「良いに決まってる。こんな俺の傍に居てくれる人なんだからな」

此れから始まる明るい未来を夢見て俺は目を閉じた。



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