壱頁完結物
「今日はキスの日なんだって」
「ひょゎ…」
何時もの如く扉を塞ぎながら太宰が話し掛ける。
「今日は龍兄に早く帰って来いって云われてて…」
「じゃあササッとやっちゃお」
「ひぇ…」
助けを求めたいが現在事務所は空。
社長に助けを求める訳にもいかない。
「妹ちゃん。ほら怖くないよ」
*****
太宰がジリジリと近付いて来るが、足がすくんで一歩も動けない末妹。
「捕まえた」
「あばば…」
背中に回された腕は思いの外力が強く、少女には到底降り解けるものではない。
「太宰さん怖い…」
「怖くないよ、ほら顔を上げて」
顎を指で持ち上げられる。
「今日の太宰さん、何か強情だ…」
*****
「君が構ってくれないからだよ」
珍しく不機嫌な太宰に昔を思い出して体を硬直させる。
部下に対して厳しかった彼を怒らせたら何をされるか解らない。
「ほら、目を閉じて」
「は…、はい…」
囁き声での呼び掛けに末妹は大人しくギュッと目を瞑った。
「おや、今日は素直だね」
*****
「だ、太宰さん…早く…」
体を震わせ頬が紅潮した末妹に太宰は思わず息を飲む。が、
「…何を泣いてるんだい」
「うぅ…、良い子にするから…怒らないで…」
ぐずぐずと泣き声を漏らし始めた末妹に太宰は脱力した。
「私は君の中では何れだけ怒りっぽいのやら」
そう云うと顔を近付けた。
*****
「…、…へぅ?」
「仕方無い、此処で我慢してあげるよ」
体を離し頭を撫でる太宰に対し鼻を擦る末妹。
「此処はまた今度、ね?」
人差し指を末妹の唇に当て片目を瞑る太宰に、末妹はまた頬を紅潮させた。
「太宰さんに汚された…中也さんに云い付けよ…」
「人聞きの悪いこと云わない!!」
.
「ひょゎ…」
何時もの如く扉を塞ぎながら太宰が話し掛ける。
「今日は龍兄に早く帰って来いって云われてて…」
「じゃあササッとやっちゃお」
「ひぇ…」
助けを求めたいが現在事務所は空。
社長に助けを求める訳にもいかない。
「妹ちゃん。ほら怖くないよ」
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太宰がジリジリと近付いて来るが、足がすくんで一歩も動けない末妹。
「捕まえた」
「あばば…」
背中に回された腕は思いの外力が強く、少女には到底降り解けるものではない。
「太宰さん怖い…」
「怖くないよ、ほら顔を上げて」
顎を指で持ち上げられる。
「今日の太宰さん、何か強情だ…」
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「君が構ってくれないからだよ」
珍しく不機嫌な太宰に昔を思い出して体を硬直させる。
部下に対して厳しかった彼を怒らせたら何をされるか解らない。
「ほら、目を閉じて」
「は…、はい…」
囁き声での呼び掛けに末妹は大人しくギュッと目を瞑った。
「おや、今日は素直だね」
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「だ、太宰さん…早く…」
体を震わせ頬が紅潮した末妹に太宰は思わず息を飲む。が、
「…何を泣いてるんだい」
「うぅ…、良い子にするから…怒らないで…」
ぐずぐずと泣き声を漏らし始めた末妹に太宰は脱力した。
「私は君の中では何れだけ怒りっぽいのやら」
そう云うと顔を近付けた。
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「…、…へぅ?」
「仕方無い、此処で我慢してあげるよ」
体を離し頭を撫でる太宰に対し鼻を擦る末妹。
「此処はまた今度、ね?」
人差し指を末妹の唇に当て片目を瞑る太宰に、末妹はまた頬を紅潮させた。
「太宰さんに汚された…中也さんに云い付けよ…」
「人聞きの悪いこと云わない!!」
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