壱頁完結物
「赤い着物の女?」
「皆そう云って魘されてて…」
広津さんや立原さんが原因不明で寝込んでしまった日、龍兄と一緒に太宰さんを訪ね如何にかしてもらおうと交渉していた。
一緒に居た国木田さんや中島さんも話を聞いて不思議そうな顔をしている。
「よく解らないけど協力してあげよう」
*****
病院に着き皆を診て貰うけど人間失格を使っても体調の回復が見られない。
「龍兄、如何しよう…」
気を落とす私の頭を撫でてくれる龍兄に驚きながら中島さんが口を開く。
「幽霊とか、なんですかね」
「幽霊なんてそんな非科学的な事、私は信じていないよ」
「ムー大陸は信じてるけどね」
*****
「役に立てなくて残念だけど私達は帰るよ」
それじゃあ、と世を向ける太宰さんに国木田さんの眉が動く。
「おい太宰、何だ此れは」
「二人が怖いだろうと思って手を繋いであげているのだけど」
「太宰さんの手、汗ばんでて気持ち悪いです…」
その光景に違和感を感じて一寸意地悪してみる。
*****
「あっ、赤い着物の女」
と嘘を吐くと太宰さんが消え、ベッドの下に居た。
「…何してるんですか太宰さん」
「いやぁ、此処にムー大陸の入り口が」
笑顔の口角が引き吊っている。
「太宰、真逆お前幽霊が…」
「莫迦を云っちゃあいけないよ国木田君!」
中島さんが白い目で太宰さんを見ている。
*****
「龍兄、今の見た?…あれ、龍兄?」
隣に居た筈の龍兄が居なくなっていた。
ふとカーテンが不自然に動くのを見つける。
「龍兄…何してるの?」
「いや…無花果王国の入り口が…」
「芥川…真逆お前も…」
「芥川君はそうかもしれないけど私は違うよ!」
そう云う太宰さんの膝も震えている。
*****
「なっ…!僕は只胎内回帰願望があるだけです!」
「其れも如何かと思うよ龍兄…」
「兎に角私は幽霊なんか…!」
「僕こそ…!」
ああだこうだと言い合う二人に国木田さんがキレた。
「解った解った、ムー大陸でも無花果王国でも何処にでも行け!」
其の瞬間、私達は見てしまったのです。
*****
「だ、太宰さん…」
「後ろ…」
「やれやれ、もう引っ掛からないよ」
「此れ以上やるなら妹とて容赦は…」
「「「うわあぁぁぁ!!」」」
一目散に逃げ出す私達を二人は鼻で笑う。
「全く、手の込んだ悪戯を…」
「皆子供だねぇ」
二人が振り向いた先には。
赤い着物の女が居た。
*****
誰も居なくなった病室に溜め息が一つ。
「姐さんよお、幾ら遊び相手が居ねぇからって俺を女装させんの止めてくれませんか」
「何故じゃ、よう似合うて居るぞ中也」
「今の青鯖でしょう、俺だってバレたら取り返しがつかねぇ」
「なら早う嫁を貰って来んしゃい」
「マジでバレなくて佳かった」
.
「皆そう云って魘されてて…」
広津さんや立原さんが原因不明で寝込んでしまった日、龍兄と一緒に太宰さんを訪ね如何にかしてもらおうと交渉していた。
一緒に居た国木田さんや中島さんも話を聞いて不思議そうな顔をしている。
「よく解らないけど協力してあげよう」
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病院に着き皆を診て貰うけど人間失格を使っても体調の回復が見られない。
「龍兄、如何しよう…」
気を落とす私の頭を撫でてくれる龍兄に驚きながら中島さんが口を開く。
「幽霊とか、なんですかね」
「幽霊なんてそんな非科学的な事、私は信じていないよ」
「ムー大陸は信じてるけどね」
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「役に立てなくて残念だけど私達は帰るよ」
それじゃあ、と世を向ける太宰さんに国木田さんの眉が動く。
「おい太宰、何だ此れは」
「二人が怖いだろうと思って手を繋いであげているのだけど」
「太宰さんの手、汗ばんでて気持ち悪いです…」
その光景に違和感を感じて一寸意地悪してみる。
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「あっ、赤い着物の女」
と嘘を吐くと太宰さんが消え、ベッドの下に居た。
「…何してるんですか太宰さん」
「いやぁ、此処にムー大陸の入り口が」
笑顔の口角が引き吊っている。
「太宰、真逆お前幽霊が…」
「莫迦を云っちゃあいけないよ国木田君!」
中島さんが白い目で太宰さんを見ている。
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「龍兄、今の見た?…あれ、龍兄?」
隣に居た筈の龍兄が居なくなっていた。
ふとカーテンが不自然に動くのを見つける。
「龍兄…何してるの?」
「いや…無花果王国の入り口が…」
「芥川…真逆お前も…」
「芥川君はそうかもしれないけど私は違うよ!」
そう云う太宰さんの膝も震えている。
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「なっ…!僕は只胎内回帰願望があるだけです!」
「其れも如何かと思うよ龍兄…」
「兎に角私は幽霊なんか…!」
「僕こそ…!」
ああだこうだと言い合う二人に国木田さんがキレた。
「解った解った、ムー大陸でも無花果王国でも何処にでも行け!」
其の瞬間、私達は見てしまったのです。
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「だ、太宰さん…」
「後ろ…」
「やれやれ、もう引っ掛からないよ」
「此れ以上やるなら妹とて容赦は…」
「「「うわあぁぁぁ!!」」」
一目散に逃げ出す私達を二人は鼻で笑う。
「全く、手の込んだ悪戯を…」
「皆子供だねぇ」
二人が振り向いた先には。
赤い着物の女が居た。
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誰も居なくなった病室に溜め息が一つ。
「姐さんよお、幾ら遊び相手が居ねぇからって俺を女装させんの止めてくれませんか」
「何故じゃ、よう似合うて居るぞ中也」
「今の青鯖でしょう、俺だってバレたら取り返しがつかねぇ」
「なら早う嫁を貰って来んしゃい」
「マジでバレなくて佳かった」
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