壱頁完結物
「え、龍兄も銀姉もまだ帰ってないの?」
拠点に帰り首領に業務報告をするとそんな事を云われた。
「今日は遅くなるみたいよ」
「二人が帰って来るまでエリスちゃんと遊ぶかい?」
「そうしようかな」
絵を描くエリス嬢の隣に座った直後、扉が開け放たれた。
「末妹、付き合え」
*****
「ひぇ…中也さんお酒飲んでる」
「おやおや中原君、如何したのかね」
「失礼します首領。其彼借りて良いですか」
「私は構わないけど…エリスちゃんは?」
「駄目よ、彼女は私と遊ぶの!」
赤ら顔の中也はそんなエリス嬢の話を聞かず末妹を片手で抱えた。
「人の話聞きなさいよチュウヤ!」
*****
「エリス嬢…助けて」
「リンタロウ!何とかしなさいよ!」
「今の中原君はきっと聞き入れてくれないよ」
「暴れんな…嗚呼、此方の方が良かったか」
何を思ったか中也は末妹を姫抱きした。
「ぎゃー!」
「それじゃ首領、お邪魔しました」
「リンタロウ使えない」
「ごめんねエリスちゃん」
*****
「そんでよー、部下がやらかしやがって」
「う、うん…」
グラスを傾け頬を染める中也に対し、末妹は真っ青な顔で俯く。
「中也さん…」
「何だ」
「何で、膝に乗せられてるの」
逃げようと立ち上がるが腰を掴まれてるせいで一歩も動けない。
「今日は何なの…中也さんも、太宰さんも…」
*****
「あ?何で太宰が出て来んだよ」
「お昼に似たような事された。ハグしてくれって」
「…手前やったのか?」
「疲れてるみたいだったから龍兄にするみたいにしたの、そしたら」
「そしたら?」
「至る処にナイフが隠してあって、刺さるかと思って」
その瞬間中也は噴き出した。
*****
「ざまあねえぜ!あの青鯖野郎」
「こ、怖かったんだから笑わないでよ!」
「手前を笑ってんじゃねえよ」
笑いが止まらない中也に不機嫌になる末妹。
「俺は今ナイフ持ってねえぞ」
「嘘、腰に付いてる」
ナイフの位置を確認しようと腰に手を伸ばす。
「あれ、ホントに無い」
*****
腰のナイフを懸命に探すが何処にも見当たらず不思議に思っていると自分の腰もスルリと撫でられた。
「ふゃぅ!」
「そんな撫でんな。誘ってんのか?」
「違うよ!本当にナイフが無いか探してただけで…」
動揺を隠せず暴れる末妹の頬に手が滑る。
「男を誘うと如何なるか教えてやるよ」
*****
「要らない…!」
「手前もその内ハニートラップに駆り出されんだ。覚えといて損はねえぞ」
「其の時になったらで良い!」
「んなつれねえ事云うなよ」
ニヤリと笑い肩を押され末妹はソファに背中から着地しそうになる。
「中也さん、何をしているのですか」
其れは黒い物によって阻止された。
*****
「龍兄!!」
「無事か」
黒獣に抱えられ末妹はソファから引き摺り出された。
「もう一度聞きます。何をしているのですか」
「あ?只遊んでただけだろうが」
「質の悪い遊びですね」
「ん…?あ、手前…」
「酔いは醒めましたか」
「あ、芥川…」
珍しく幹部の顔から血の気が引いた。
*****
「済まねえ…相当酔ってたみてえだ」
「流石にやりすぎです」
後からやって来た銀に水を渡され一気に飲み干す。
「悪かったな、もうしねえよ」
「…展開が太宰さんと同じ」
「ぐっ…」
太宰と同じと云われ怒りたい衝動を必死に殺す。
「もう中也さんとお話ししないっ」
「悪かったって!」
*****
「中也さん、今回に関しては妹が落ち着くまでそっとしておいて下さい」
「うっ…」
「探偵社でも怖い思いをしたそうなので暫くは僕か銀が付き添いをしますので」
「四六時中何方かと一緒に居ると思います」
「クソ、隙がねえ…」
「そんな訳で」
「「宜しくお願い致します」」
.
拠点に帰り首領に業務報告をするとそんな事を云われた。
「今日は遅くなるみたいよ」
「二人が帰って来るまでエリスちゃんと遊ぶかい?」
「そうしようかな」
絵を描くエリス嬢の隣に座った直後、扉が開け放たれた。
「末妹、付き合え」
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「ひぇ…中也さんお酒飲んでる」
「おやおや中原君、如何したのかね」
「失礼します首領。其彼借りて良いですか」
「私は構わないけど…エリスちゃんは?」
「駄目よ、彼女は私と遊ぶの!」
赤ら顔の中也はそんなエリス嬢の話を聞かず末妹を片手で抱えた。
「人の話聞きなさいよチュウヤ!」
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「エリス嬢…助けて」
「リンタロウ!何とかしなさいよ!」
「今の中原君はきっと聞き入れてくれないよ」
「暴れんな…嗚呼、此方の方が良かったか」
何を思ったか中也は末妹を姫抱きした。
「ぎゃー!」
「それじゃ首領、お邪魔しました」
「リンタロウ使えない」
「ごめんねエリスちゃん」
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「そんでよー、部下がやらかしやがって」
「う、うん…」
グラスを傾け頬を染める中也に対し、末妹は真っ青な顔で俯く。
「中也さん…」
「何だ」
「何で、膝に乗せられてるの」
逃げようと立ち上がるが腰を掴まれてるせいで一歩も動けない。
「今日は何なの…中也さんも、太宰さんも…」
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「あ?何で太宰が出て来んだよ」
「お昼に似たような事された。ハグしてくれって」
「…手前やったのか?」
「疲れてるみたいだったから龍兄にするみたいにしたの、そしたら」
「そしたら?」
「至る処にナイフが隠してあって、刺さるかと思って」
その瞬間中也は噴き出した。
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「ざまあねえぜ!あの青鯖野郎」
「こ、怖かったんだから笑わないでよ!」
「手前を笑ってんじゃねえよ」
笑いが止まらない中也に不機嫌になる末妹。
「俺は今ナイフ持ってねえぞ」
「嘘、腰に付いてる」
ナイフの位置を確認しようと腰に手を伸ばす。
「あれ、ホントに無い」
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腰のナイフを懸命に探すが何処にも見当たらず不思議に思っていると自分の腰もスルリと撫でられた。
「ふゃぅ!」
「そんな撫でんな。誘ってんのか?」
「違うよ!本当にナイフが無いか探してただけで…」
動揺を隠せず暴れる末妹の頬に手が滑る。
「男を誘うと如何なるか教えてやるよ」
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「要らない…!」
「手前もその内ハニートラップに駆り出されんだ。覚えといて損はねえぞ」
「其の時になったらで良い!」
「んなつれねえ事云うなよ」
ニヤリと笑い肩を押され末妹はソファに背中から着地しそうになる。
「中也さん、何をしているのですか」
其れは黒い物によって阻止された。
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「龍兄!!」
「無事か」
黒獣に抱えられ末妹はソファから引き摺り出された。
「もう一度聞きます。何をしているのですか」
「あ?只遊んでただけだろうが」
「質の悪い遊びですね」
「ん…?あ、手前…」
「酔いは醒めましたか」
「あ、芥川…」
珍しく幹部の顔から血の気が引いた。
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「済まねえ…相当酔ってたみてえだ」
「流石にやりすぎです」
後からやって来た銀に水を渡され一気に飲み干す。
「悪かったな、もうしねえよ」
「…展開が太宰さんと同じ」
「ぐっ…」
太宰と同じと云われ怒りたい衝動を必死に殺す。
「もう中也さんとお話ししないっ」
「悪かったって!」
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「中也さん、今回に関しては妹が落ち着くまでそっとしておいて下さい」
「うっ…」
「探偵社でも怖い思いをしたそうなので暫くは僕か銀が付き添いをしますので」
「四六時中何方かと一緒に居ると思います」
「クソ、隙がねえ…」
「そんな訳で」
「「宜しくお願い致します」」
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