毛利寿三郎

【歳は違えど】


「はぁ…なんで俺は同い年やないんやろなぁ」


そう言う彼は二年生に進級。
一年遅れで入学した私の新品の制服を遠慮なくクシャクシャにしながら後ろから抱き締めてくる。


「ええなぁ、俺も隣の席とかなりたかったわぁ」


テニス部の丸井君と同じクラスになったと話したらこれだ。
ヤキモチを妬いてくれるのは嬉しいけど力が強いのでお腹が少し苦しい。
しばらく宥めたりしていたが次第に口数が減り沈黙が続いたとき、彼がふと顔を上げた。


「俺が留年「したら私退学するからね」

「え!?そらアカンちゃんと卒業します!!」


ごめんなさいと謝る彼の頬に唇を寄せるとふにゃふにゃと私の好きな顔で笑ってくれた。


「でもこういう時『別れる』って言わへんとこ好きやで」

「別れたくないから絶対言わない」

「愛されとるなぁ俺」

「愛してるよ寿三郎」

「………不意打ちやめて」
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