壱頁完結物
「ぱぱ、あかちゃんってどやってできるの?」
「また其れか…懲りねえな」
ソファで転た寝していた中也の上に座る娘。
「だってあおしゃばしゃんのはちがうんでしょ?」
「違ぇよ。パパもママも粉々にはなってねえからな」
「おしえて!」
寝起きの体を揺さぶられ軽い目眩を覚えながら起き上がった。
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「そういや今日は昼寝はしねえのか?」
「きになってよるしかねむれない」
「また包帯野郎に吹き込まれたな」
確かに娘は眠くなさそうだが、如何にかして此の話題を終わらせたい中也はあの手この手で注意を逸らす。
「ぱぱ、なんでおしえてくれないの?」
然し試みは悉く失敗に終わった。
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「あのな、赤ちゃんの作り方は大人になったら自然と知るもんだ。今から急いで覚える必要ねえんだよ」
「…?よくわかんない」
「今は其れで良い。其れよりもお前はマフィアで生きていく為に大事な事を沢山知らなきゃいけねえんだぞ」
「だいじなこと?」
「ちゃんとパパが教えてやるから安心しろ」
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「まふぃあのことはぱぱがおしえてくれるの?」
「嗚呼。たまに厳しい事も云うし怒るかもしれねえが、一人前の淑女になるまでしっかり教育するからな」
頭を撫でられ嬉しそうに笑う娘が漸く子作りの話を忘れた事に中也は安堵した。
「しゅくじょになったらあかちゃんつくれる?」
忘れていなかった。
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