壱頁完結物

「プロポーズの言葉?」
娘が突飛な事を聞いてきた。
何処でそんなマセた事覚えて来んだよ。
「…俺から離れるなとは云ったが、そんな事聞いて如何すんだ?」
嬉しそうに跳ねる娘を宥めながら問うと
「あたしもけっこんするときいってもらうの!」

「パパから離れるんじゃねえ!!!!」


*****


妻が出掛けたので娘を連れて芥川や樋口達と会議。
「目的地に着けば隠密行動になる。芥川、手前は俺に付いて来い。離れるんじゃねえぞ」
すると娘が何を驚いたのか俺を呼ぶ。
「いまりゅーにぷろぽーずした…?」
一瞬思考が停止する。
「いや、今のは違…!」

「引いてんじゃねえよ芥川!!」


*****


「ぱぱたいへん!」
ハリ○タのアトラクションから帰って来た娘はえらく興奮している。
「如何した」
「○リーにぷろぽーずされちゃった!」
「…は?」
「ぼくからはなれないで!っていわれたの!」
頬を手で覆う仕草は最高に可愛い。だが。

「そろそろプロポーズの話は忘れてくれ…」


*****


「ぱぱー!」
「只今、帰るぞ」
探偵社に預けていた娘を迎えに行くと太宰に抱えられていた。
「帰ってしまうのかい?寂しいなぁ、私から離れないでくれ給えよ」
「あおしゃばしゃん、いまのぷろぽーず?」
「ふふ、そうだよ」
「おい糞鯖」

此方を見てニヤリと笑う顔は事情を知っているらしい。



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