壱頁完結物


「ぱぱ、ぱぱのぱぱはいるの?」
「パパのパパ?爺さんの事か?」
「ん」
「…いねぇなあ、ママももういねぇんだ」
「そっかぁ」
純粋に此方を見詰める娘の質問の意図が判らない。
「何でそんな事聞くんだ?」
「“じっかにきせい”してみたいの」

「毎度思うが何処で覚えてくんだそう云うの」


*****


「手前の爺さんは広津さんだろ」
「でもじぃじここにいるもん」
口を尖らせる娘をよく見ると、何故かリュックを背負っていた。
何となく、娘の意図が判った気がする。
「お出掛けしてえなら最初からそう云って良いんだぞ」
「…ほんと?」

娘の顔が判りやすく輝いた。


*****


「でもみんないそがしいもん…」
「今日はパパ休みだぞ」
「ほんとぉ!?」
「おう、パパとデヱトするか?」
「するー!ぱぱとでえとするー!」
はしゃぎ倒す娘を抱き上げ頬に口付けてやれば、首に抱き付いた。
「あのね、おさかなさんみたい!」

「んじゃ支度するからもう少し待ってろな」



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